鳥取県沖で墜落した大型無人偵察機「グローバルホーク」引き揚げに向けた作業

鳥取県沖で墜落した大型無人偵察機「グローバルホーク」引き揚げに向けた作業 国内ニュース
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鳥取県沖で墜落した大型無人偵察機「グローバルホーク」引き揚げに向けた作業

主な捜索範囲は2026年9月18日発表(第5報)の報道発表より引用

2026年9月15日に鳥取県沖の洋上でレーダーロストした大型無人偵察機「グローバルホーク」(RQ-4B Global Hawk)に関して、捜索・回収活動がおこなわれています。

10月6日におこなわれた航空幕僚長の記者会見によると、10月2日以降、現場海域においてROVを使用した海中の捜索作業を実施しており、10月13日からは「グローバルホーク」の機体回収に向けた引き揚げ作業をおこなうため、回収船が現場海域に到着して本格的な回収作業を開始する予定。回収作業の期間は、10月2日から約1か月程度を見込んでおり、気象・海象の状況や回収状況などを総合的に勘案しながら、安全最優先で適切に作業を進めるとしている。

「グローバルホーク」の機体が墜落した海域の水深は200m~300mとされており、加えて墜落による機体の損傷を考えると、困難なサルベージ作業になることが予想されます。10月6日におこなわれた航空幕僚長の記者会見では、海底で発見されている機体の詳細な状態を特定する段階には至っておらず、”機体の構造物と思われるような比較的大きな物体” を確認している状況と説明されています。

海底に沈んでいる機体の回収をおこなうまでに、さらなる調査がおこなわれるものと思われますが、どのような状態で機体が引き揚げられるのか気になる所。想像を絶するほどに大破している可能性もあり、そうなると細かく分散した部材の回収は想定している期間では終わらないことも考えられる。

大型無人偵察機「グローバルホーク」墜落および捜索経緯

航空自衛隊(Japan Air Self-Defense Force)は大型無人偵察機「グローバルホーク」の墜落に関する報道発表の第1報で事故状況を明らかにしています。

航空自衛隊の報道発表(第1報)によると、2026年9月15日12時58分ごろ、三沢基地(青森県三沢市)所属の大型無人偵察機「グローバルホーク」(RQ-4B Global Hawk)が鳥取県沖北方約50kmの洋上で航跡消失し、レーダーロスト。

航空自衛隊は事故発生当日に発表した第2報において、付近の洋上で発見した浮遊物から大型無人偵察機「グローバルホーク」は墜落したものと推定されるという見解を明らかにし、その後、9月16日にミサイル艇「はやぶさ」が撮影した浮遊物の写真により、機体は墜落したものと断定。

2026年9月15日(墜落事故発生日)のタイムライン
  • 10時20分ごろ
    大型無人偵察機「グローバルホーク」が三沢基地を離陸

  • 12時55分以降
    通信装置との接続不良が発生
  • 12時58分ごろ
    レーダーから航跡消失

    鳥取県沖北約50kmの洋上

  • 14時19分ごろ
    海上保安庁のヘリコプターが浮遊物を発見
  • 14時25分ごろ
    F-15J(戦闘機)が浮遊物を発見
  • 15時12分ごろ
    U-125A(救難捜索機)が浮遊物の写真を撮影
  • 17時20分ごろ
    U-125A撮影の写真により、「グローバルホーク」の機体と推定
  • 18時00分ごろ
    ミサイル艇「はやぶさ」が浮遊物の写真を撮影
  • 19時50分ごろ
    「はやぶさ」撮影の写真により、「グローバルホーク」の機体と断定

航空自衛隊の発表情報

2026年10月12日時点で航空自衛隊は大型無人偵察機「グローバルホーク」の墜落について、第7報までの報道発表を公表しています。

大型無人偵察機「グローバルホーク」墜落に関する航空自衛隊の報道発表
  1. 2026年9月15日(第1報)
    • 9月15日12時58分ごろ、空自三沢基地所属のRQ-4B(グローバルホーク)×1機が鳥取県沖北約50kmの洋上でレーダーロスト
    • 航空自衛隊の航空機及び海上自衛隊の艦艇・航空機により、捜索活動を実施中
  2. 2026年9月15日(第2報)
    • レーダー消失までの概要経緯および捜索活動状況を公表
    • 発見した浮遊物により、機体は墜落したものと推定
    • 9月15日の捜索活動態勢:航空自衛隊 F-15J×2機、U-125A×1機、UH-60J×1機、KC-46A×1機、海上自衛隊 護衛艦「あがの」、ミサイル艇「はやぶさ」を動員
  3. 2026年9月16日(第3報)
    • 捜索活動状況の続報を公表
    • 9月15日18時ごろ、海上自衛隊「はやぶさ」浮遊物の写真を撮影し、同日19時50分ごろ、この写真によりRQ-4B(グローバルホーク)の機体は墜落したものと断定
    • 9月15日の捜索活動は18時13分ごろまで実施
    • 9月15日の捜索活動態勢:航空自衛隊 F-15J×2機、U-125A×1機、UH-60J×2機、KC-46A×1機、海上自衛隊 護衛艦「あがの」、ミサイル艇「はやぶさ」を動員(※第2報の動員態勢にU-125A×1機を追加)
  4. 2026年9月17日(第4報)
    • 9月16日、浮遊物が発見された鳥取県鳥取市青谷町沖約40km周辺を中心に航空自衛隊及び海上自衛隊で捜索活動を実施
    • 9月16日の捜索活動態勢:航空自衛隊:U-125A、 海上自衛隊:護衛艦「やはぎ」、ミサイル艇「はやぶさ」を動員
    • 航空事故調査委員会において事故調査を実施中
  5. 2026年9月18日(第5報)
    • 9月18日、浮遊物が発見された鳥取県鳥取市青谷町沖約40km周辺を中心に航空自衛隊及び海上自衛隊で捜索活動を実施
    • 9月18日の捜索活動態勢:航空自衛隊 U-125A、海上自衛隊 護衛艦「ゆうだち」、掃海艦「えたじま」を動員
    • 9月18日17時00分時点で浮遊物の回収には至っていない
  6. 2026年9月20日(第6報)
    • 2026年9月19日、鳥取県の沿岸部に航空機の機体の一部と思われる物体が漂着しているとの通報を受け、航空自衛隊は隊員を現地に派遣して当該物体の確認をおこなったところ、墜落したRQ-4B(グローバルホーク)の機体の一部であることが判明
    • 鳥取県の沿岸部に漂着した当該物体を回収し、美保基地に搬入
    • 航空自衛隊は、引き続き関係機関と連携し、捜索・回収活動を継続する方針
  7. 2026年9月25日(第7報)
    • 2026年9月24日、捜索活動中の海上自衛隊の艦艇により、機体の一部と思われる物体を海中において発見
    • 航空自衛隊は、引き続き関係機関と連携し、捜索・回収活動を継続する方針

機体回収に向けて「AUGUST EXPLORER」現場到着

2026年10月12日、海中で発見されている大型無人偵察機「グローバルホーク」の機体を回収する引き揚げ作業に向けて、東洋建設の500トン吊り自航式クレーン船「AUGUST EXPLORER」が鳥取県沖の現場海域に到着。

500トン吊り自航式クレーン船「AUGUST EXPLORER」の動員理由

「グローバルホーク」の機体を引き揚げる回収船として、500トン吊り自航式クレーン船「AUGUST EXPLORER」を選定した理由は、以下の問題2つをクリアしているという点が挙げられます。

500トン吊り自航式クレーン船「AUGUST EXPLORER」の動員理由と思われる現場の問題
  • 水深200m~300mとみられる引き揚げ場所の深い水深
  • 引き揚げを実施する海域が海岸から20海里(約37km)以上離れている

アメリカ空軍のGoodfellow Air Force Base(グッドフェロー空軍基地)が掲載している基本仕様によると、大型無人偵察機「グローバルホーク」(RQ-4B Global Hawk)の機体・エンジン・固定装備など(乗員、ペイロード、燃料を含めない)機体自体の自重である空虚重量は 6,781kg。

アメリカ空軍の RQ-4 グローバルホーク
出典:Wikipedia | U.S. Air Force photo by Bobbi Zapka – http://www.af.mil/shared/media/photodb/photos/070301-F-9126Z-229.jpg, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6711631による
全長14.5m
全幅39.8m
全高4.7m
空虚重量6,781kg
最大離陸重量14,628kg
ペイロード1,360kg
速力574km/h
航続距離8,700海里(約16,100km)
実用上昇限度18,288m

10トンにも満たない重量の引き揚げ作業に最大吊り上げ能力500トンのクレーン船「AUGUST EXPLORER」を動員。一見するとオーバースペックな機械選定にも見えますが、引き揚げ場所の200m~300mという水深が関係している。吊り上げ能力の大きなクレーンは、動滑車の原理によりウインチ能力以上の吊り上げ能力を発揮するため、フックブロックの巻掛け数が多い。したがって、元々仕込まれているワイヤーが長いことから、逆に巻掛け数を減らすことで水面下の深い場所までフックを到達させることができるようになる。実際のフック巻掛け数は不明ですが、恐らく鳥取への回航前に巻掛け数を減らす準備作業は既におこなっているものと思われる。

さらに、クレーン船「AUGUST EXPLORER」は、DPS B(IMOのClass 2相当)のDPS(Dynamic Positioning System:自動船位保持装置)を備えており、大水深でアンカー係留による船体保持が困難な海域でも定点保持が可能。東洋建設のウェブサイトに掲載されているスペックによると、定点保持能力は潮流2ノット、風速15m/s。

もう一つの問題点、”引き揚げを実施する海域が海岸から20海里(約37km)以上離れている” というのは、船舶の航行区域に関する制限が関係している。

  • レーダー消失位置:鳥取県沖北約50km
  • 浮遊物発見位置:鳥取県鳥取市青谷町沖約40km
  • 機体の引き揚げ作業をおこなう海域:鳥取県鳥取市青谷町沖約50km

出典:JASDF | 記者会見 | 空幕長記者会見について(2026年09月30日発表)(https://www.mod.go.jp/asdf/news/20260930kisyakaiken.pdf)

「グローバルホーク」の機体を引き揚げる海域は、鳥取県鳥取市青谷町沖約50kmとされている。

船舶はその構造や性能などによって航行できる水域を「航行区域」で指定されおり、原則として北海道、本州、四国、九州の各海岸から20海里以内(約37km)の水域や特定の島や半島の海岸から20海里以内の水域であれば、沿海区域と呼ばれる航行区域の指定を受けた船舶で到達できる。しかし、今回の引き揚げ作業の場合、20海里(約37km)を超えているため、近海区域以上の航行区域で指定を受けた船舶でなければならない。

自航式クレーン船「AUGUST EXPLORER」の航行区域は、近海区域となっており問題をクリアしている。

順調に引き揚げ作業が進むことを祈るばかりですが、夏から秋へ季節は移り、”冬の日本海” とまではいかないまでも、10月でさらに50km沖合の日本海で安全に作業が出来る日なんてあるのでしょうか。厳しい環境下でのサルベージ作業、無事に作業を完了して欲しい。

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