2022年8月13日、日本人が乗る有人潜水艇が小笠原海溝の最深部、水深9,801メートルに到達。60年ぶりに日本人としての最深記録を更新。
アメリカ企業の有人潜水艇「DSV Limiting Factor」
日本人初 水深9801メートルの深海に到達 最深記録60年ぶり更新
この調査は、東京海洋大学や名古屋大学、それに海外の大学などで作るグループが8月5日から行っているもので、アメリカの民間企業の高性能有人潜水艇、「リミッティングファクター号」で日本周辺の水深6000メートルよりも深い「超深海」での調査を進めています。
日本人初 水深9801メートルの深海に到達 最深記録60年ぶり更新 | NHK
残念ながら小笠原海溝の最深部、水深9,801メートルに到達した有人潜水艇「DSV Limiting Factor」は日本のものではありません。Caladan Oceanicという民間企業が、フロリダを拠点とする民間潜水艇の設計および製造を行うTriton Submarinesに依頼して建造した有人潜水艇。
これまでの日本人による有人潜水艇の最深記録は、1962年に海洋物理学者の佐々木忠義氏がフランスの潜水艇「アルシメード号」で千島・カムチャツカ海溝の水深9,545メートル。
そして、今回到達したのは水深9,801メートル。これまでの記録を256m更新。どちらも想像を絶する数字ですね。60年前の水深9,545m到達という記録もすごい。
ですが、残念なのが両者ともに有人潜水艇は国産では無いという点。がっかり。
水深9,801メートル到達時、有人潜水艇「DSV Limiting Factor」に搭乗していたのは、名古屋大学大学院の道林克禎教授とパイロットのヴィクター・ヴェスコヴォ氏。
もっとたくさん乗っていきたいところですが、この有人潜水艇の最大定員が2名。1名はパイロット確定であと1人しか乗れない仕様。
それにしてもスゴイ記録。
有人潜水艇「DSV Limiting Factor」の概要
最大潜航深度11,000mの有人潜水艇「DSV Limiting Factor」。人が乗船する部分は、厚さ90mmのチタン合金製耐圧殻と呼ばれる直径1.5mの球体。そこに2人が乗船する。ちなみに、日本の有人潜水艇「しんかい6500」の耐圧殻は厚さ73.5mm、直径2mで乗員数は3人。
長さ | 4.60m |
幅 | 1.90m |
高さ | 3.70m |
気中重量 | 11.7トン |
潜航深度 | 11,000m |
乗員数 | 2人 |
耐圧殻内径 | 1.50m |
ペイロード | 220㎏ |
支援母船「DSSV PRESSURE DROP」
有人潜水艇「DSV Limiting Factor」の支援を行うのが支援母船「DSSV PRESSURE DROP」。
調査海域までの運搬、進水や整備、潜水調査中の通信などを行う。
AIS情報が確認できるので、どこで潜水調査を行っているか探索できます。日本周辺での調査を9月19日まで行う予定。
AIS情報を確認した時は、千葉県の沖合を東に向かって移動中でした。
探検家 ヴィクター・ヴェスコヴォ(Victor Vescovo)
有人潜水艇「DSV Limiting Factor」のパイロットを行うヴィクター・ヴェスコヴォ氏。数々の記録を持っている。
2019年4月28日、マリアナ海溝最深部、チャレンジャー海淵に到達した4人目の人類。そして、世界5大洋の最深部に単独潜航。2022年6月には宇宙飛行を経験。まさに百戦錬磨、屈強な精神力の持ち主。
こんな人がパイロットしてくれる有人潜水艇は心強いですね。
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