イエメン沖のFSO「Safer」原油抜き取り任務完了
Tuesday 29 August – Salvage operation in Yemen concluded
8月29日火曜日 – イエメンでのサルベージ活動が終了
https://boskalis.com/safer
2023年8月29日、BoskalisはFSO「Safer」に積まれた原油を抜き取る作業が完了し、イエメンでの活動が終了したことを明らかにした。
原油抜き取り作業をおこなうBoskalisがホームページで公開している進捗情報によると、全長362mのFSO「Safer」に積まれた約114万バレル(約18万m3)という大量の原油をVLCC「Yemen」(NAUTICA)に移送する作業が完了したのは8月11日。その後、FSO「Safer」のタンク内の清掃やVLCC「Yemen」を少し離れた場所に係留する作業をおこない、8月29日にイエメンでの任務が完了。
任務当初から現地で準備作業などをおこなっていた多目的支援船「Ndeavor」は、イエメンでの活動が終了した後にジブチへ向かい、現在ジブチに停泊しており、作業に従事していた乗組員の一部が下船するという。その後「Ndeavor」は、ロッテルダムに向けて出港する予定。
18日間に渡る原油移送作業
FSO「Safer」から約114万バレルの原油抜き取り作業がスタートしたのは、2023年7月25日。そして、18日後の8月11日に完了。原油抜き取りが完了した船体は、その重量分だけ軽くなり長年に渡って海面下で海洋生物が付着した船体が露わになっているのが確認できます。
114万バレルを換算すると約18万1,246m3。原油抜き取りを開始した時の記事でも書きましたが、25mプールの水量に換算すると、302杯分。この膨大な量の原油を1日当たり平均17杯分も移送していたことになります。改めてスゴイ量。
約114万バレルの原油を積んだVLCC「Yemen」
AIS情報で原油を移送したVLCC「Yemen」を確認すると、FSO「Safer」から南へ数kmの位置に停泊していました。そして、任務は完了。
VLCC「Yemen」の取扱について詳細は記載されておらず、特にどこかで移送した原油を荷揚げするという情報はありませんでした。FSO「Safer」は、紛争によって維持管理されていなかったものの、元はイエメンの国営企業の管理下にあったので、抜き取った原油をVLCCの船体ごと持ち主に引き渡したという事になるんでしょうか。
FSO「Safer」はイエメン紛争により2015年以降、維持管理がされておらず老朽化が進み船内に積まれた油の流出や最悪の場合、爆発する可能性があり環境への影響が懸念されていたため、潜在的な環境被害を回避するため国連主導で今回のプロジェクトが進められたという経緯があります。
VLCC「Yemen」への原油移送が完了し、差し迫ったリスクは回避できましたが、仮に今後も同じように維持管理がされない場合は何年かするとVLCC「Yemen」で同じ現象が起きてしまう。
よく読まれている記事