日本郵船が運航する自動車運搬船「HELIOS LEADER」が南シナ海を航行中に救助要請を受けて現場に向かい、遭難者303人を救助したそうです。
自動車運搬船「HELIOS LEADER」が南シナ海で遭難者303人を救助
2022年11月7日、日本郵船(NYK Line)が運航する自動車運搬船「HELIOS LEADER」が南シナ海で遭難者303人を救助したそうです。
海の世界では助け合いの精神が強く、救助船ではない船が遭難者を救助するといったニュースは少なくありませんが、心温まるとても素晴らしい行動だと思いました。
自動車運搬船「HELIOS LEADER」は名古屋からシンガポールへ向けて南シナ海を航行中にシンガポール当局経由のスリランカ当局から救助依頼を受けて現場に急行。遭難船を発見し、11月7日19時30分頃、遭難者303人を救助。遭難者の健康状態に問題はなく、11月8日にベトナムのブンタウ港にて全員無事に下船。
303人の難民
303人の遭難者はどこへ向かっていたのでしょう?
救助されて一件落着のように見えますが、遭難した船の画像を見ても分かる通り、遭難した303人はいろんな理由で自国を出て外国へ逃げようとしていた難民でした。スリランカ人の難民と見られる303人は、ミャンマー船籍の漁船でカナダへ向かう途中だったそうです。あの船でカナダへ・・・。
カナダへ向かっていた漁船は11月6日、ベトナムの沖合で船内に海水が流れ込み救難信号を発信。救難信号を受信したベトナムの関係機関が付近を航行していた自動車運搬船「HELIOS LEADER」に支援を要請して今回の救助に至る。遭難者の中には女性や子供もいたそうです。
決死の覚悟を持って漁船でミャンマーからカナダへ渡ろうとする難民がそこまでして自国のスリランカから逃げようとする理由はなんなんでしょう。
スリランカの現状
スリランカは現在、大規模な貧困、インフレ、燃料不足に見舞われているそうです。世界的な新型コロナウイルス蔓延による観光業への打撃やウクライナの戦争によって引き起こされた世界的なエネルギー危機などの要因が考えられるそうですが、中でも大きな要因として2021年4月に化学肥料と農薬の輸入が禁止になったことが挙げられるそうです。
2021年11月には撤回されたようですが、時すでに遅くその影響はとても大きなもので作物の収穫量は激減し、農業が崩壊。スリランカは主要な輸出作物を失って貿易収支にも大打撃となったようです。
ただこの施策は、窒素酸化物による公害や温室効果を削減するために、環境に優しい農法を実施する取り組みの一環として行われたもの。環境問題に配慮した取り組みは大切ですが、国民が生活できず難民が生まれるような状態になってまで行うべきものではない。環境問題は優先されるべきだけど最優先ではない。
日本でも冬の到来が近づくにつれ、夏場よりも電力のひっ迫が予想され、政府も原発再稼働の方針を示しました。医療の現場など電力が無くなることで最悪の事態が生じる場面はたくさんあります。いろんな立場の人が居るので、いろんなことを考えながら選択していく時代になりました。
よく読まれている記事