クレーンAフレームを改造
オランダのHeerema Marine Contractorsが所有する半潜水式起重機船「Thialf」のAフレームを改造するそうです。「Thialf」は7,100トン吊のクレーンを2基搭載していて、タンデムリフトで14,200トンの吊上げ能力がある世界で2番目に大きいクレーン船。
改造する理由は橋の下を通過する為
「Thialf」は2022年にバルト海の”Parkwind’s Arcadis Ost I wind farm”で洋上風車の設置作業を予定しています。
オランダからバルト海へ回航する時に通過する橋の桁下制限で通常の状態では航行できないそうです。こういった場合、対処方法として2通りあります。
1の方法は半潜水式起重機船だと喫水の調整幅が広いので有効。ですが、橋の下を通過するという事は近くに陸地があるので、航行可能な水深がボトルネックになってきます。単に喫水の調整だけ考えると「Thialf」の喫水範囲は11.9m~31.6m。水深があるのであれば20m近くエアギャップを作り出す事が出来ます。
2の方法が今回のAフレーム改造に該当。日本のジブ固定式起重機船も橋の下を通過する時はジブを桁下制限以下まで倒して通過しています。外国のジブ固定式起重機船にはジブを倒すのではなく格納して回航できるクレーン船もいますね。
Great Belt Link 桁下制限65m
「Thialf」がオランダからバルト海へ向かうときに通過する橋、Great Belt Link。デンマーク最大で首都コペンハーゲンがあるシェラン島と、2番目に大きいフュン島を結ぶ。
Great Belt Linkの桁下制限は65m。それに対して「Thialf」のジブを倒した状態での高さは105m。
その差は40m。
バラスト調整で20mクリアランスを稼いでも残り20mあります。
画像を見る限り、余裕は無さそうですが、折り畳まれたAフレームがどの程度の高さになるかがわからないので確認はできません。
Aフレーム改造前の通航方法
これまでに桁下制限がある場所を通過する時はどうやって通過してたのでしょうか?
答えはAフレームの部材を一部取り外して折り畳んでいた。
出典:Heerema
この方法でも通過は可能みたいですが、手間がかかりそうですよね。通過前に折り畳んで通過後に復旧。さらに頻繁に行う工程として建造されていないから危ない作業もあるかもしれません。
Aフレームを改造して折り畳める仕様にすることはいろいろな点でメリットが大きいのでしょう。
Aフレーム類似事故
Aフレームと聞くと現在建造中の「Alfa Lift」で起きた事故が思い浮かびます。
よく読まれている記事