世界最大の戦艦「大和」に搭載された46センチ主砲の砲身を削るときに使用されたという超大型旋盤「15299機」。戦艦「大和」に関連する大型の工作機械の中で唯一現存する巨大旋盤が広島県呉市に陸揚げされました。今後、岸壁での組立が行われ、11月22日には起重機船「駿河」で大和ミュージアムの展示施設予定地へ設置される予定。
戦艦「大和」の主砲を削った大型旋盤保存プロジェクト
2022年11月4日、戦艦「大和」が誇る世界最大級の主砲身などを削り出した超大型旋盤「15299機」が保存されていた兵庫県の工場から大和ミュージアムのある広島県の呉に運ばれ岸壁に陸揚げされました。運ばれてきた超大型旋盤「15299機」の部材を陸揚げするのに使用されたクレーン船は「さんこう」。「さんこう」もまた戦艦「大和」の建造に携わったとされる縁のある起重機船。陸揚げ方法は他にもあったと思いますが、「さんこう」を使って話題性を持たせてアピールするという方法は宣伝効果高そうなのでいいアイデア。
超大型旋盤「15299機」は、1938年にドイツ・ドルトムント市のワグナー社から輸入、呉海軍工廠 砲煩部砲身工場に設置された大型工作機械。「旋盤」とは金属塊や部品などを回転させながら削る機械で、15299機は、戦艦大和が誇る世界最大級の主砲身などを削り出した旋盤。
奇跡的に戦時中の難を逃れた超大型旋盤「15299機」は、終戦後の1953年に神戸製鋼所高砂製作所に払い下げられ、1996年には兵庫県明石市の機械部品製造会社「きしろ」に買い取られた。2013年までの長年にわたり、播磨工場で大型船舶用エンジンのクランクシャフト旋削のため現役で稼働していましたが、近年は新鋭機の導入に当たり遊休機械として工場内に保管されていました。
クラウドファンディング公開8時間で2,400万円以上
超大型旋盤「15299機」自体は、機械部品製造会社「きしろ」から大和ミュージアムへ寄贈されるようですが、架台制作、輸送・設置、塗装・組立といった展示・保存を行う上で必要になる費用についてはふるさと納税型クラウドファンディングを立ち上げ、寄付を募ったそうです。
クラウドファンディングによる募集は2021年8月3日~9月30日まで行われましたが、注目度・関心度の高さと、なにより戦艦「大和」に関する歴史的遺産を後世に残したいという多くの支援者により公開直後の8時間で2,400万円以上の寄付が集まったそうです。そして、最終的な寄付総額は2億6,948万円。莫大な寄付が6,626人の支援者から寄せられた。
今後の一般公開までの予定
当初の予定では2022年4月23日に大型旋盤の除幕式を行う予定でしたが、クラウドファンディングにより集められた寄付金額を基に大型旋盤を展示・保管する建屋のデザインを再考するため日程を延期。
現在発表されている予定では、2023年3月に除幕式が行われ、一般公開される予定。
- 2022.11.22大型旋盤を展示する基礎部分に設置
2,200トン吊り起重機船「駿河」使用予定
- 2022.11.28展示施設上屋の建設着工
- 2023.2月末展示施設完成
- 2023.3月除幕式
大和ミュージアムが行っている大型旋盤保存プロジェクトに関する新着情報や作業の様子などは、Twitterで確認することが出来ます。
よく読まれている記事