シールドマシン撤去完了、福島第一原発の処理水放出トンネル

シールドマシン撤去完了、福島第一原発の処理水放出トンネル 国内ニュース
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シールドマシン撤去完了、処理水放出に必要な工事ほぼ終了

放水口ケーソンから撤去された到達管(シールドマシン)
出典:東京電力ホールディングス
NHK 福島 NEWS WEBの掲載記事【2023年6月26日 17時05分掲載】

福島第一原発 処理水海洋放出設備の工事すべて完了

(抜粋)東京電力は26日、処理水を沖合に送る海底トンネルを掘り進めた重機を海中から回収し、処理水の放出口に土砂などがたまるのを防ぐふたを設置する作業を行いました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20230626/6050023049.html

2023年6月26日、福島第一原子力発電所で建設を進めているトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を海に放出する施設のうち、海底トンネルの掘進に使用したシールドマシン撤去を完了。処理水放出トンネルの先端にある放水口ケーソンに土砂などがたまるのを防ぐケーソン蓋設置も完了したという。

前日の6月25日早朝、作業のため現場海域にやって来たのは1,600トン吊りクレーン船「神翔-1600」。海上のうねりによる影響で作業が延期されていましたが、6月26日にシールドマシンの撤去作業を無事完了。その後、放水口ケーソン上部に土砂などがたまるのを防ぐケーソン蓋の設置もおこなったそうです。

海底トンネルを掘り進めたシールドマシンを含む海中から引き揚げられた到達管と呼ばれる設備は、海水にさらされた影響なのか内側も外側も全体的に茶色く錆びた色になっている。

驚くべきことに、シールドマシンを包む箱状の鋼材は事前に仕込んだ状態で放水口ケーソンの据え付けがおこなわれたという。海底トンネルの全長は約1,031m。陸側の立坑から掘進を開始して、終点の放水口ケーソンの中に設置した箱状の鋼材を目指して掘り進む。そして、寸分違わず箱状の架台に収まっているシールドマシン。これはスゴイ技術。

到達管の側面にはタイヤ、上部の吊具には玉ブイ、その理由は・・・

シールドマシンを覆うように取り囲んでいるH鋼で組まれた吊り上げ用の架台には、側面に大きなタイヤがチェーンでぶら下げられています。これは、クリアランスの狭い放水口ケーソンの中から到達管を引き揚げる時にコンクリート製の放水口ケーソンへの接触で破損することを防ぐための緩衝材だと思われる。

さらに、上部の吊具に取り付けられたいくつもの玉ブイは、水中で玉掛けをおこなう潜水士の方が少しでも作業しやすいように太く重たいワイヤーを浮力で軽くするためのもの。水中で潜水士の体は浮力で浮き、踏ん張りがきかなくなるため、重たいものを引っ張ることが難しい。ワイヤーにブイを取り付けることに加えて、吊具先端に短いワイヤーを追加することで潜水士の方が吊具を玉掛け位置に調整しやすい工夫が凝らされれている。クレーン船から潜水士の方に対する優しさが表れているようなもの。相手の立場になって物事を考える思考はどんな時も大切。

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処理水放出に必要な設備は整ったようですが・・・

報道されている情報によると、今回の到達管撤去・ケーソン蓋設置が完了したことで処理水放出に向けて実施していた工事は完了したそうです。6月28日からは設備全体の性能を確認する原子力規制委員会による放出前の検査が行われる予定で、この検査に合格すると放出に向けた設備面での準備が整うことになるという。

東京電力側がトリチウムなどの放射性物質を含む処理水放出について説明を重ね、理解を求めても不安を拭えず、反対の意見を持つ人が多いのも事実。広い意味で影響があるのは日本全体、しいては地球全体と言えますが、より強い影響を受けるのは周辺の地元住民、なかでも漁業関係者の方。

海洋放出しようとしている「ALPS処理水」とは、様々な放射性物質を含んだ汚染水をトリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を下回るまで浄化処理した水のこと。汚染水を浄化処理する多核種除去設備の名称をALPS(Advanced Liquid Processing System)という。そのALPSでも除去できないのがトリチウムという放射性物質、水素の同位体で3重水素(3H)とも呼ばれる。処理水に含まれるトリチウム濃度は平均約62万ベクレル/リットル(2021年4月1日時点)で、海洋放出するには国の規制基準である6万ベクレル/リットル未満にする必要があり、東電が掲げている運用基準は1,500ベクレル/リットルとさらに厳しい基準を設定している。処理水を規制基準以下の濃度にする方法は、大量に汲み上げた海水で処理水を薄めるというもの。

海洋放出するトリチウムの総量は変わらないが、濃度を薄めれば基準を満足する。規制基準が総量規制ではなく濃度規制である以上、認めざるを得ない。

ただ、海洋放出の開始時期についてよく耳にする「夏頃までには・・・」という曖昧な表現からも東京電力側が関係者からの理解を得られていない事を自覚していることが伺える。相手の立場に立って考えるという思考に基づき、何度も説明し、話し合った上で不安に思われていることを1つずつ除去していくしか理解を得られる方法は無い。関係者の不安は、大量の海水で薄められる処理水のように単純なものではない。

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