4,000トン吊りクレーン船「Green Jade」ついに完成
2023年6月30日、台湾南部の高雄市にある台湾国際造船股份有限公司(CSBC)で建造していた4,000トン吊り自航式クレーン船「Green Jade」(環海翡翠)の引き渡しがおこなわれました。
引き渡しの式典には産官学の各界からおよそ300人が出席。その人数からも注目度の高さが伺えます。「Green Jade」は、台湾国際造船股份有限公司(CSBC)とベルギーのDEME Offshoreとの合弁会社であるCSBC-DEME Wind Engineering (CDWE)が発注し、洋上風力向けの自航式大型クレーン船としては台湾初となる。報道されているニュース記事によると建造価格は約75億台湾ドル、日本円に換算するとおよそ350億円。
DP3搭載 4,000トン吊り自航式クレーン船「Green Jade」
- 2020年9月建造開始
- 2022年4月Launching 進水式
- 2022年8月
- 2023年6月メインクレーン荷重試験完了
- 6月30日完成・引き渡し
船名 | Green Jade(環海翡翠) |
吊上能力 | 4,000トン吊 |
長さ | 216.5m |
幅 | 49.0m |
深さ | 16.8m |
推進器 | アジマススラスター 4×4,500kW 格納式スラスター 2×4,200kW トンネルスラスター 2×2,500kW |
DPS | DP3 |
甲板スペース | 168m×49m |
甲板強度 | 20t/m2(ダブルデッキ) |
宿泊設備 | 160人 |
建造年 | 2023年6月 (建造開始:2020年9月) |
建造場所 | CSBC’s shipyard in Kaohsiung:台湾 |
所有会社 | CDWE (CSBC[台湾]とDEME Offshore[ベルギー]の合弁会社) |
早速、2023年7月中に稼働予定
出典:CSBC
引き渡しされたばかりの「Green Jade」ですが、早速7月には稼働する予定になっているという。予定されている現場は、どちらも台湾西部の台湾海峡に建設予定の中能洋上風力発電所(Zhong Neng Offshore Wind)と海龍洋上風力発電所(Hai Long Offshore Wind)。
2023年7月、最初に「Green Jade」が向かう中能洋上風力発電所では、2023年3月からDEMEの800トン吊りSEP起重機船「Apollo」によるジャケット基礎杭の打設が開始されている。なので「Green Jade」は、基礎杭打設後のジャケット設置をおこなう可能性が高そう。中能洋上風力発電所は、CIP(Copenhagen Infrastructure Partners)とCSC(China Steel Corporation)の合弁事業として開発が進められており、総発電容量は298MW、風力タービンはVestasの「V174-9.6 MW」を31基設置する予定。
出典:Copenhagen Offshore Partners
台湾国際造船が製作した「Green Jade」建造動画
「Green Jade」建造の様子や4,000トン吊りクレーン荷重試験の様子などを関係者のインタビューとともに紹介する動画がアップロードされています。YouTube字幕機能が使用できないので内容はさっぱり分かりませんでしたが、映像を見るだけでも相当な苦労があったんだろうなという事は伝わってきました。動画の中には日本最大の起重機船「海翔」によるメインクレーン設置の様子も登場します。
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