みらい造船で横転した漁船の復旧作業に起重機船「富士」登場
2023年8月21日、宮城県気仙沼市のみらい造船で修理のため作業ドックへ移動中に横転した漁船「第二大師丸」の復旧作業に深田サルベージ建設所有の3,000トン吊り起重機船「富士」が気仙沼港に入港。報道されている情報では、起重機船「富士」により横転した漁船を移動台車の台座に戻す作業が8月23日までの予定で実施されるという。
漁船の横転事故は8月9日に発生。事故により作業にあたっていた乗組員2人がけがをしている。8月11日には横転した漁船を固定させる作業をしているという報道があり、不思議に感じましたが、その時から起重機船の手配をしていたのかもしれません。
横転した全長40メートルの巻き網漁船 大型クレーンでつり上げ作業始まる 宮城・気仙沼市
(抜粋)第二大師丸は、重さが141トン、全長は40メートルあり、大型クレーンでないと移動できないため、青森の専門業者に作業を依頼していました。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/673263?display=1
報道では、漁船「第二大師丸」の重量を141トンと説明していますが、総トン数と同じ数字なので信じられない。総トン数と排水トン数を勘違いしてる可能性が高いと思いますけど、140トンくらいのような気もします。実際、何トンなんでしょうね?
船名 | 第二大師丸 |
総トン数 | 141トン |
長さ | 48.86m |
幅 | 7.00m |
深さ | 3.50m |
横転した漁船の復旧方法
いろんな方法があると思いますが、吊り上げ能力の大きな起重機船が到着したということは、起重機船「富士」で吊り上げて復旧するということなんでしょう。ただ、横転した漁船を吊り上げて空中で直立した正規の姿勢に戻す作業は簡単にできるという訳ではない。
この方法でやるかどうかは知りませんが、一つの方法として。
手順としては、最初に横転した状態の漁船をそのまま吊り上げる。そして、漁船の船底側を巻き下げて玉掛けを外す。その状態で漁船を180度回転して、今度は漁船が正規の姿勢に直立するように巻き上げて移動台車の台座に搭載。
漁船の重量が不明ですが、起重機船「富士」の吊り上げ能力は3,000トン。1フックの最大能力は750トンあり、さすがに漁船の重量はそれよりも軽いと思われることから、1フックで180度回転させることは可能。問題になりそうなのは、漁船の船橋部分が高いため起重機船の吊りワイヤーが干渉しない位置に来るように吊りピースを配置しなければならない点。最後に漁船を正規の姿勢に戻す時は、漁船の船橋部分と吊りワイヤーが干渉しないように後フックは2フック使用したほうが安全なのかも。
👆上の図では分かり易いように側面側からのイメージにしましたが、実際は前後フックでなく左右フックを使用するかもしれません。
報道では、23日まで作業の予定ということでしたが、吊り始めるとそこまで時間はかからないと思われる。準備段階の吊りピースを取り付ける作業が最も時間を費やすと思われるので、もしかすると吊りピースの取り付けがまだ終わっていないのかもしれません。
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