華能臨高洋上風力で10MW風力タービン設置
2024年4月28日、海南省の臨高県から北西22km沖で建設中の華能臨高洋上風力発電所(Huaneng Lingao Offshore Wind Farm)で最初の10MW風力タービン設置がおこなわれました。
華能臨高洋上風力発電所は、東西方向に約14km、南北方向に約9kmという約80.5km2のエリアに10MWの風力タービン60基と洋上変電所1基を設置する計画で総発電容量は600MW。4月9日に4,000トン吊りクレーン船「海峰2001」によるモノパイル設置が報じられており、その位置で1基目の風力タービン設置がおこなわれたようです。
SEP船「三航风华」による風力タービン設置
華能臨高洋上風力発電所で1基目の風力タービンを設置したのは船体やレグ、クレーンの形状からSEP起重機船「三航风华」(SAN HANG FENG HUA)のようです。報じられているニュース記事を見て気になる点が2つ。
1つ目は、ナセルを設置する画像に映っているメインのフックブロックに ”800T” と書かれているということ。これまで「三航风华」を建造したZPMCの記事などからクレーン能力は1,000トンだと思っていました。疑問に思ったので中国船級協会の登録情報を照会してみると搭載クレーンは3基で、それぞれ800トン、360トン、15トンという吊り上げ能力。なのでメインクレーンの最大吊り上げ能力は800トンのようです。
2つ目は、水面上からかなり高い位置まで船体をジャッキアップしている点。中国のニュース記事によると設置した風力タービンのローター直径は242m、ブレード長さ118m、ハブ高さ136.7メートル、総重量1,227トン。設置時の画像を見る限り補助フックではなくメインフックでナセル、ブレードの設置をおこなっており、揚程に余裕はあまり無さそう。一般的な風力タービン設置作業では、風車基礎への昇降を考慮してトランジションピース上面とSEP船甲板高さが同程度の高さになる位置で施工をおこないますが、今回の施工では水面上に出ている風車基礎の高さに比べて2倍程度まで船体をジャッキアップしています。SEP船「三航风华」の揚程は不明ですが、限界近くまでジャッキアップすることで不足している揚程を補っているように見える。
レグの昇降時間を考えると施工効率は悪くなりますが、揚程の足りない800トン吊りSEP起重機船で10MWの風力タービン設置を実施するという力技は中国らしさが出ているとも言えるのかも。ジャッキアップ時に現場ではヒヤヒヤしながら作業していたのが想像できます。
800トン吊りSEP起重機船「三航风华」
船名 | 三航风华 |
クレーン能力 | 800トン |
総トン数 | 9.404トン |
長さ | 91.6m |
幅 | 40.8m |
深さ | 7.2m |
レグ長さ | 67m |
最大作業水深 | 40m |
建造年 | 2016年3月 |
出典:ZPMC
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