重量400トンのトランジションピースを効率的に運搬する方法

2024年9月にMammoetは、フランスの「Iles d’Yeu et de Noirmoutier offshore wind farm」向けトランジションピースをオランダのフリシンゲンにあるBOW Terminalでおこなったマーシャリング作業の動画を公開。
YouTubeで公開されている動画の投稿日は2024年9月17日なので今から半年以上前に投稿されており、少し古い情報ですが、トランジションピースの運搬方法がとても効率的でユニークな方法でした。
2台のSPMTとTPを下からすくい上げるアタッチメント

トランジションピース(TP)を運搬するために使用しているのは、アクセルライン12軸のSPMT(Self Propelled Modular Transporter:自走式多軸台車)2台とTPを揚重するためのアタッチメント。
アタッチメントは2台のSPMTを連結するように荷台上へ2本の梁が配置されたおり、その下端にTPを揚重する2本の梁が取り付けられている。
SPMT荷台上にある梁の片側は油圧で開閉する仕組みで、コンクリート製の架台上へ仮置きしているTPにSPMTをセットする時は、片側の梁を上げた状態で進入。TPを揚重する位置までSPMTが進んだ後に上げていた梁を下げて固定。そして、SPMTを上昇させてTPの運搬を開始。
Mammoetの掲載情報では、”Mammoet utilized a new attachment for the SPMT that essentially turned it into a giant forklift”(MammoetはSPMTに新しいアタッチメントを採用し、実質的に巨大なフォークリフトに変えました。)と説明されています。
各TPは直径6m、高さ30m、重量400トン。使用したアタッチメントと12軸のSPMT2台という組み合わせで重量800トンの運搬が可能だという。高さのあるTP運搬時は重心位置が高いので、ヤードの不陸や強風などで転倒する恐れがありそうですけど、クレーンを使用しない運搬効率の高いユニークな運搬方法はメリットが多い。




TP61基のマーシャリング作業


出典:Smulders
「Iles d’Yeu et de Noirmoutier offshore wind farm」で使用するトランジションピースはポーランドで製造し、ベルギーのHobokenにあるSmuldersのヤードで最終的な組立がおこなわれ、オランダのフリシンゲンにあるBOW Terminalへ運搬。その後、フランスへ輸送といった流れで運ばれているようです。
HobokenにあるSmuldersのヤードからフリシンゲンへは、1隻当たり台船上に4基のTPを積んで運搬。フリシンゲンでの荷降ろし作業では、Ro-Ro方式での荷降ろしも検討されたようですが、大型のバージが必要なことやフリシンゲンの干満差が約4mあることから台船からの荷降ろしには1,200トン吊りのクローラークレーンを採用したという。
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