2022年10月初旬に開始した五島市沖洋上風力で組み立てが完了した1基目の浮体式洋上風車を曳航し崎山沖に設置する作業が行われたようです。年内にあと2基、来年に入って5基を設置する予定。2024年1月からの商業運転開始を目指している。
五島市沖洋上風力で1基目の浮体式洋上風車の設置
2022年11月25日から26日にかけて、組み立てが完了した浮体式風車を椛島沖から崎山沖に移動する作業が行われました。風車の曳航は2隻のタグボートを使用して約10kmの海上を10時間かけて曳航したそうです。時速1km(0.5ノット)という曳航速度からも慎重な作業が伺えます。
設置する浮体式洋上風車は全部で8基。年内にあと2基、来年に入って5基を設置する予定。2024年1月からの商業運転開始を目指している。
平穏な椛島で風車タービンの組み立て
10月初旬から行われていた浮体式洋上風車の組立では、ハイブリッドスパー型と呼ばれる洋上風車の浮体部分を福江港で半潜水型スパッド台船「フロートレイザー」に積み込みした後、椛島沖で進水、建て起こしを行い、大型起重機船を使用して風車タービンの組み立てが行われていた。
椛島沖で風車タービンの組み立てを行ったのは㈱吉田組所有の3,700トン吊り起重機船「第50吉田号」。
風車タービンの組み立てはRNA方式?
今回の作業の中でリスクの高い作業はいくつかあると思いますが、中でも危険なものとしてブレードを設置する作業が挙げられると思います。
最初に風車タービン組み立て作業の様子を見た時は「おぉ!」と思いましたが、一体化しているのはブレード2枚だけのようです。ドイツで建設中の洋上風力発電所「Arcadis Ost 1」で「Thialf」がRotor Nacelle Assembly (RNA)と呼ばれるブレード、ハブ、ナセルを一体化した状態で風車タービンの組み立てを行っています。
RNA方式に似ているやり方のように見えますが、結局最後のブレード1枚は普通に吊り上げて設置。実に惜しい。
なぜ3枚全てのブレードを一体化しなかったんでしょう?
考えられる理由としてはいくつかあると思いますが、地組するタワーの架台を製作する手間と費用の問題が考えられる。架台の材料費というよりは固定する基礎が大掛かりになってしまうのかも。地組作業が普通に風車を組み立てるのと同じことになるので、陸上に風車を1基つくるつもりで基礎から架台を段取りすると、さすがに撤去の問題もあり採算合わなかったんでしょう。
平穏な海域で組み立て作業を行っているとはいえ、大型起重機船を使用した設置作業で垂直面での取り合いというのは想像しただけでも難易度が高い事が分かります。
まだ始まったばかり、先は長い。。。
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