SEP船「慧海壹号」8.5MW洋上風力タービン16基設置

SEP船「慧海壹号」8.5MW洋上風力タービン16基設置 洋上風力発電
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SEP船「慧海壹号」8.5MW洋上風力タービン16基設置

山東海洋能源有限公司の掲載記事【2023年11月6日掲載】

山东海洋能源所属“慧海壹号”轮圆满完成烟台牟平风场16台风力发电机组安装

(山東海洋能源が所有する「慧海壹号」が煙台牟平風力発電所に16基の風力タービンの設置を無事完了)

https://www.sdme.cn/document/821.html

2023年11月1日、山東海洋能源はSEP起重機船「慧海壹号」(HUI HAI YI HAO)が中国の山東省烟台市沖合で建設中の三峡能源山東煙台牟平BDB6#1期洋上風力(CTG Shandong Yantai Muping BGB6 phase1)で8.5MW風力タービン16基の設置を完了したと発表。

SEP船「慧海壹号」による風力タービン設置作業がおこなわれた烟台市沖の洋上風力プロジェクトは、沖合50kmの位置にあるエリアに風力タービン34基と洋上変電所1基を設置する計画で、総発電容量は300MW。

SEP船「慧海壹号」は2011年に建造され、元はベルギーの Jan De Nul が所有していたSEP船「TAILLEVENT」。2021年に中国の山東海洋集団へ売船され、2023年8月にクレーン揚程増強とレグ延長のアップグレードが完了したばかり。

今回、34基のうち16基をSEP船「慧海壹号」が設置したようですが、全数の設置が完了した訳ではないようです。途中で施工を区切った理由は、地形的な海象条件から秋以降の施工が難しいためだと思われますが、掲載記事では言及されていないのであくまでも推測です。

SEP船「慧海壹号」のAIS情報を確認すると、11月2日に施工をおこなっていた山東省烟台市沖を出発して、11月6日には浙江省寧波市沖まで南下していました。

SEP船「慧海壹号」のAIS情報

 1,000トン吊りSEP起重機船「慧海壹号」

船名慧海壹号
クレーン能力1,000トン
長さ138.55m
40.8m
深さ10m
レグ長さ93.87m、6本
DPSDP Class 2
宿泊設備112人
建造年2011年
「慧海壹号」の概要
SEP起重機船「慧海壹号」
出典:山东海洋能源有限公司
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8.5MW風力タービン1基を3日と7時間で設置

8.5MWの風力タービンを設置するSEP起重機船「慧海壹号」
出典:山东海洋能源有限公司

山東海洋能源有限公司の11月6日掲載記事では施工日数についての記載はありませんでしたが、風力タービン10基の設置が完了した10月8日掲載の記事で、1基当たりの最短設置時間は3日と7時間と書かれています。

この設置スピードが早いのか遅いのか。設置する風力タービンの部材を自船甲板に積み込み出来る量や自船で港に帰港して積み込みするか他の運搬船で運ぶのかなど、施工方法によっても違いがあるので一律に他と比べる事は難しい。ただ、同じタービン出力の8.5MW風車を石狩湾新港で設置した清水建設のSEP船「BLUE WIND」は、1基当たり3日で設置するという施工サイクルで計画されていました。「BLUE WIND」の場合、実際の実績は分かりませんがカタログスペックだと8.5MW風車を1.5日で施工できるということなので、「慧海壹号」の3日と7時間という設置速度は早いとは言えないような気がします。

延長したレグでもギリギリの水深?

SEP船「慧海壹号」ジャッキアップ時のレグ残尺

風力タービンの設置をおこなうSEP船「慧海壹号」の画像を見て驚いたのは、レグの残尺がギリギリという点。

SEP船「慧海壹号」に搭載されているレグの長さは建造当初 73.5mでしたが、2023年8月に完了したアップグレードにより20.3m延長されて、約94mに延長されています。

👆上の画像で分かっている長さは船体の深さ10mだけ。その長さを基準にレグ残尺、レグ昇降ユニット、船体から水面の高さを推定すると、ジャッキアップ時に水面上へ出ているレグ長さは30m。そして、設置エリアの水深は33m~44m。仮に画像撮影時の水深が最も深い44mだったとして、レグが海底面に沈み込んだ長さを計算すると。

レグの沈下量

 94m(レグ長さ) – 30m(水面上のレグ長さ) – 44m(水深) = 20m

海底面にレグが20mも沈み込んでいる計算になります。水深表記に潮位を加えたものが実際の水深かもしれませんが、それでも15m以上は埋まっています。海底地盤の土質によっては、これ程までにレグが沈んでしまうんでしょうね。可能性としては、風力タービン基礎のジャケットを設置したことで潮流によって海底面の形状が変化したことも考えられるかもしれません。

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