CIMCでSEP船の鉄鋼切断式 発注したオーナーは金融リース会社?
又一风电安装船开工建造!中集来福士抢抓海上风电新机遇
(もう一隻の風力発電設置船が着工! CIMC Raffles がオフショア風力発電の新たな機会をつかむ)
http://www.cimc-raffles.com/show-29-615-1.html
少し前ですが、2023年2月14日に中国のCIMC Rafflesで华夏金融租赁有限公司(Huaxia Financial Leasing Co., Ltd.)向けとなる1,500トン吊りクレーンを搭載したSEP起重機船の鉄鋼切断式(First steel cutting)が行われ、正式に着工したことが発表されました。完成・引き渡しは、2024年の予定。
船名 | 未定 |
クレーン能力 | 1,500トン(主) 250トン(補助) |
長さ | 139m |
幅 | 50m |
深さ | 10m |
レグ長さ | 不明 |
最大作業水深 | 70m |
宿泊設備 | 120人 |
DPS | DP-2 |
搭載されるメインクレーンの能力は、最大1,500トンで作業半径45mまで吊り上げ可能なLEC(Leg Encircling Crane)を採用し、250トン吊りの補助クレーンを右舷側に搭載している。
レグ長さは不明ですが、最大作業水深は70mとなっており、15MWの洋上風力タービン設置が可能。
自航式で設計速力は9ノット。DPS(自動船位保持装置)はDP-2を搭載。宿泊設備は、120人を収容可能な大容量となっている。
SEP起重機船としては大き過ぎず、かといって小さくもなく、今後の洋上風力建設で幅広い需要が期待できるサイズ。
建造を発注したのは金融リース会社
中国では把握が困難になるくらいの勢いで洋上風力関連の設置船が建造されているので、建造自体は珍しい事ではなく、搭載されるクレーンも特出した性能という訳ではないんですが、建造を発注したオーナー企業はこれまでとは違うようです。
通常であれば施工を行う企業がオーナーになり発注しますが、今回SEP起重機船の建造を発注したのは、华夏金融租赁有限公司という企業。中国の金融リース会社で、ホームページの会社概要に記載されている事業内容を見ると、エネルギー、輸送、機器製造、医療、通信、鉱業、航空、海運など幅広い分野をカバーしているようですが、施工を行う企業ではなく金融サービスによってサポートするというもの。
华夏金融租赁有限公司(以下简称“华夏金租”)成立于2013年4月,是经中国银行保险监督管理委员会批准设立的全国性金融租赁公司
(華夏金融リース有限公司(以下、「華夏金融リース」という)は、2013年4月に設立された、中国銀行保険監督管理委員会の認可を受けた国家金融リース会社)
https://www.hxfl.com.cn/gsgk/gsjj/index.shtml
ホームページに掲載されている会社概要でも自社のことを ”金融リース会社” と述べている。やはりSEP起重機船を実際に動かして施工を行う会社ではなさそう。なので短期または長期リースのような形で貸し出すことを前提に建造していると思われる。このビジネスモデルは成立するのだろうか?
SEP起重機船のリースというビジネスモデル
建設業に限らず、世間ではいろんな物がリースされていますが、高額な初期投資が不要で必要な期間だけ借りられるという需要とメリットがあるのでリース業が成立している。
現状の中国国内では洋上風力建設が各地で行われており、設置をおこなうSEP船のような作業船が不足している状態であることは間違いない。ただ問題になってくるのはSEP起重機船があっても誰もが使いこなせるという訳ではなく、専門的な知識と経験がある人を集めてこなければ動かすことは出来ない。そして、SEP船の需要が高い状態とはいえ、現場の諸条件を確認して施工手順や工程を考慮して施工金額を算出し、契約をしなければ施工には入れない。
なので施工を行う企業にリースする目途が立っていると想像できますが、それにしてもリスクが高いような気がします。最初から融資という形で建造費用を負担する方がいいのでは、と思ってしまう。
日本で同じようにリース会社がSEP船のリースを始めたら借り手はいるのだろうか?
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