高雄港に停泊中の「Green Jade」にタンカーが衝突
2023年7月21日11時5分(現地時間)、台湾の高雄港に停泊していた4,000トン吊りクレーン船「Green Jade」に入港してきたタンカー「HUA YUN」が衝突する事故が発生。
全長182mのタンカー「HUA YUN」は入港後、荷役桟橋に出船の状態で係船するため回頭している時に船体が流されて左舷後部が停泊していたクレーン船「Green Jade」の左舷側に接触。幸いなことに大きな衝突ではなかったため、「Green Jade」側は甲板上の手摺が破損した程度の損傷にとどまったようです。港湾施設への被害は無く、事故によるけが人なども報告されていない。
2023年6月末に完成・引き渡しがおこなわれたクレーン船「Green Jade」は、台湾国内で建設中の風力発電所での施工に向けた準備を進めている最中で、7月24日に台湾海峡の彰化沖へ出航する予定。衝突による船体への深刻なダメージは無さそうなので予定通り作業に向かうと思われる。
4,000トン吊り自航式クレーン船「Green Jade」
「Green Jade」(環海翡翠)は、台湾国際造船股份有限公司(CSBC)で建造され2023年6月30日に完成・引き渡し。洋上風力向けの自航式大型クレーン船としては台湾初となる。搭載されているHuisman製のクレーンは最大4,000トン吊り。2022年8月頃におこなわれたメインクレーンの搭載作業では、日本最大の起重機船「海翔」が台湾の高雄港へ行き、吊り作業をおこなった。
船名 | Green Jade(環海翡翠) |
吊上能力 | 4,000トン吊 |
長さ | 216.5m |
幅 | 49.0m |
深さ | 16.8m |
推進器 | アジマススラスター 4×4,500kW 格納式スラスター 2×4,200kW トンネルスラスター 2×2,500kW |
DPS | DP3 |
甲板スペース | 168m×49m |
甲板強度 | 20t/m2(ダブルデッキ) |
宿泊設備 | 160人 |
建造年 | 2023年 予定 (建造開始:2020年9月) |
建造場所 | CSBC’s shipyard in Kaohsiung:台湾 |
所有会社 | CDWE (CSBC[台湾]とDEME Offshore[ベルギー]の合弁会社) |
タンカー「HUA YUN」
台湾国際造船股份有限公司(CSBC)で建造され、2011年に完成。船籍は台湾、所有者は中国石油天然気集団(CNPC,China National Petroleum Corporation)。
船名 | HUA YUN (華運) |
総トン数 | 28,410トン |
長さ | 182m |
幅 | 32m |
建造年 | 2011年 |
台湾のニュース報道
現在、台湾で報道されている海のニュースの中で注目されているのは、高雄港沖で沈没したコンテナ船「ANGEL」に積まれていたコンテナが数百個というレベルで海上を漂流している事件の方ですが、今回の「Green Jade」にタンカーが衝突した事故も報道されていました。
百億環海翡翠輪剛交船 就被中油華運輪衝撞
(100億の「Green Jade」は配達直後にCNPC華運に体当たりされた)
https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/4371621
完成時の報道されていた建造費は約75億台湾ドルでしたが、100億台湾ドルに増えてますね。巨額を投じて建造したクレーン船「Green Jade」に衝突したタンカー「HUA YUN」が”悪者”として受け取れるような内容。
事実、港内に停泊中で動いていない状態の「Green Jade」に接岸作業中のタンカー「HUA YUN」が衝突しており、タンカーの過失割合が高いので当然と言える。ですが、それに加えて衝突したタンカーの所有者が中国石油天然気集団(CNPC,China National Petroleum Corporation)であることが関係しているのかもしれません。
何はともあれ、クレーン船「Green Jade」に大きな損傷が無くてほんとによかった。
よく読まれている記事