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米ボルティモアの橋崩落事故で航海データ回収、タイムライン公開

米ボルティモアの橋崩落事故で航海データ回収、タイムライン公開 事件・事故
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コンテナ船「DALI」からVDRデータ回収

2024年3月26日午前1時30分頃(現地時間)にコンテナ船「DALI」がアメリカのメリーランド州ボルティモアに架かるフランシス・スコット・キー橋の橋脚に衝突した事故について、NTSB(National Transportation Safety Board:国家運輸安全委員会)は、コンテナ船からVDR(航海データ記録装置)のデータを回収しました。

NTSBが受け取ったVDRデータは、事故の発生状況を調査する上で重要となる事故発生前の深夜から午前6時までの6時間分だという。VDRには船位、船速、船首の方位等に加え船橋音声や通信音声、レーダ画像、船橋等に伝えられるアラームといった搭載船の各種情報が記録されている。

VDR(航海データ記録装置)とは?

VDRとは、Voyage Data Recorder、航海データ記録装置のこと。

海難事故の原因究明を目的として、2002年7月以降に建造された旅客船および総トン数3,000トン以上の貨物船に対し、SOLAS条約によって搭載が義務付けられている。

航海に伴う日付・時刻を中心に船位、船速、船首の方位等に加え船橋音声や通信音声、レーダ画像、船橋等に伝えられるアラームといった各種情報をデジタルデータとして圧縮し、船体外部に設けられた保管ストレージに記録。保管ストレージは船舶の火災、爆発、衝突、沈没に備え、耐熱、耐圧、耐衝撃構造となっている。

出典:Wikipedia | 航海データ記録装置

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NTSBの記者会見で公開されたVDRデータの内容

2024年3月27日(現地時間)、NTSBは記者会見でコンテナ船「DALI」がコンテナターミナルを出航し、フランシス・スコット・キー橋の橋脚に衝突する約50分間で記録されたVDRデータの内容を公開しました。

コンテナ船「DALI」が衝突するまでのタイムライン
  • 3月26日
    00時39分
    ボルティモアのシーガート・マリン・ターミナルを出航
  • 01時07分
    航路IN
  • 01時24分
    針路141度、8ノットで航路を航行
  • 01時24分
    59秒
    複数の警報が鳴り響き、VDRは船の電子システムデータの記録を停止

    電子システムの記録は停止したが、バックアップ電源によりブリッジ内の音声録音は継続

  • 01時26分
    02秒
    VDRは船の電子システムデータの記録再開
  • 01時26分
    39秒
    パイロットがVHF無線でタグボートの救援を要請

    ※この時、パイロット協会の司令員がフランシス・スコット・キー橋を運営するMDTA(メリーランド交通局)の当直職員に連絡。この連絡によりMDTAは橋の通行止めに関して早期警告を得ることができたため、結果多くの命を救うことが出来た。

  • 01時27分
    04秒
    パイロットがコンテナ船の左舷アンカー投錨を指示(衝突2分前)
  • 01時27分
    25秒
    パイロットはVHF無線でコンテナ船「DALI」が電力喪失し、フランシス・スコット・キー橋に近づいていることを警告、橋の閉鎖を要請
  • 01時29分
    7ノットで航行、衝突音が聞こえ始める
  • 01時29分
    33秒
    衝突音が収まる
  • 01時29分
    39秒
    パイロットがVHF無線で橋の崩落を報告

一般車両の通行止め措置が迅速に実行できた経緯

衝突前に橋を閉鎖して通行する車両を止めていたという情報は以前から出ていましたが、限られた時間の中でどのように実行していたのか気になっていました。

公開された内容によると、コンテナ船に乗船していたパイロットが橋の閉鎖を要請したのは、衝突のおよそ1分30秒前。実際、どのような手段で閉鎖をおこなったのかは不明ですが、さすがに1分30秒では厳しかったかもしれません。しかし、パイロットが閉鎖要請を連絡する1分前に、パイロット協会の司令員が橋を運営するMDTA(メリーランド交通局)の当直職員に連絡していたという。これにより迅速な橋の閉鎖を実行することができたとみられているようです。これはかなりのファインプレーと言える。

もし、日本国内でも同じような事態が起きた場合、緊急的な措置を分刻み・秒刻みという早さで講じることが出来るのでしょうか。現状、出来るか出来ないかはよく分かりませんが、出来るようにしないとダメですね。

【動画】NTSBの記者会見

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今後の予定

コンテナ船「DALI」は依然として衝突位置に留まっている状態。報道されている情報では、橋の補修工事をしていた作業員8人が橋の崩落に巻き込まれて海に落下、2人が救助されましたが1人は重体となっており、残る行方不明者6人は川の水温などから死亡したと推定し、捜索・救助活動を中断。

コンテナ船「DALI」の船舶管理をおこなうSYNERGY MARINEは事故に関する更新情報をウェブサイトで公開しており、事故当時、コンテナ船に乗船していたパイロット2人とインド人乗組員22人のうち、軽傷ですが乗組員1人の負傷を明らかにしています。

乗組員、パイロットへの聞き取り開始

3月27日(現地時間)にNTSBは乗組員への聞き取りを開始。そして、パイロットへの聴取は28日から始まる予定。NTSBは、行方不明者の死亡推定が判断されたことから今後始まる本格的なサルベージ作業の前に、復旧に向けた作業により無くなる可能性のある証拠を収集・保存することに重点を置いているという。

コンテナ船の船首を覆う不安定な橋桁をどのようにして撤去するのか、気になるところ。

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コンテナ船「DALI」

日本海事協会(ClassNK)に登録されているコンテナ船「DALI」のRegister of Ship
  • Owner(船主):GRACE OCEAN PRIVATE LIMITED
  • Manager(運航会社):SYNERGY MARINE PTE. LTD.
  • Shipbuilder(建造):HYUNDAI HEAVY INDUSTRIES CO., LTD.
船名DALI
総トン数95,128トン
載貨重量トン116,851トン
コンテナ積載容量9,971TEU
長さ299.92m
48.2m
船籍シンガポール
建造年2015年3月
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