飽和潜水による観光船「KAZU1」の船内捜索開始

事件・事故
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作業台「海進」現場到着

 2022年5月18日午後4時頃、北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故現場へ向け、作業船「海進」は網走港を出港。

 5月19日午前7時頃、沈没現場付近に「海進」到着。

飽和潜水による捜索開始

 5月19日午後1時から「飽和潜水」による潜水作業を始める予定でしたが、現場海域は潮の流れが速く、予定より2時間半ほど遅れる。

 19日午後3時30分頃、潜水士を乗せて水中エレベーター投下。

 19日午後4時11分に水深100mに到達し、午後4時26分に飽和潜水が開始。

 19日午後5時5分、潜水士がカズワンの船内に入った。

行方不明者の発見には至らず

 ダイバー2人が観光船の船内に入り捜索したが、行方不明者は見つかっていない。

 飽和潜水による捜索は、海底115メートルに沈むカズワンの船内や周囲に、行方不明者がいるか確認するのが最大の目的で2日間の日程で行われ、カズワンの引き揚げについての調査も行う予定。

DPS(自動船位保持装置)

 作業船「海進」の係留方法は気になっていましたが、画像を見る限りアンカーは使用していないようです。

「KAZU1」沈没位置付近の「海進」(船首側)
「KAZU1」沈没位置付近の「海進」(船尾側)

 日本サルヴェージのHPに掲載されている「海進」のスペックにはDPS搭載とあり、スラスターも4基搭載されているので、それで定点保持できるのかと思っていましたが違うのかも。

 HPに記載されているスラスターはドイツの船舶メーカーSCHOTTELの”SPJ57”というポンプジェット。調べるとDPSの補助ユニットとして使用されるみたい。

 ポンプジェットの特長として、コンパクトなので省スペースの設置が可能。船体と同一平面に設置されているため、船舶の抵抗を最小限に抑えるだけでなく、損傷のリスクも大幅に低減される。水深が浅い場所で船底から飛び出ていると接触するリスクがあるため。

DPSとは?

Dynamic Positioning System の略。自動船位保持装置。

錨やワイヤーを使用せずに、船舶を長時間一定の位置に保持するためのシステム。潮流、波、風などで船が移動しないよう、色々なセンサーで船舶の位置や向きを検知し、スラスターなどで自動的に補正する装置。

PORTABLE DYNAMIC POSITIONING SYSTEM

 画像を見ると現場に到着するまでは使用されていなかった後付けのスラスターを使用していました。

 中央より少し船首寄りの舷側に各1基、船尾に1基の計3基。

「海進」船尾に設置されたスラスター
「海進」舷側に設置されたスラスター

 調べると、アメリカの「Thrustmaster of Texas」のPORTABLE DYNAMIC POSITIONING SYSTEM。

ポータブルDPS 出典:Thrustmaster of Texas

 同社のHPに「海進」は見つけられなかったですが、日本サルヴェージの「開洋」が掲載されていたので間違いないかと思います。「開洋」と同型であれば”OD500N”という型式で出力は500馬力、スラスター重量6.9トン、プロペラ直径1.25m。

「海進」甲板上に引き揚げられた状態のスラスター

Open Moon Pool

「海進」のムーンプール(6m×4m)

 「海進」にはムーンプール(Moon Pool)と呼ばれる開口が船体にあります。大きさは6m×4m。これは潜水作業支援船や調査船の船体構造に取り入れられている人や装置を海中に出し入れする出入口。

 これのおかげで定点維持に必要なスラスターを使用している状態でも潜水士やROV、有線機材を安全に船上から海中へ出し入れすることが出来る。

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