FPSOを係留する重量120トンの杭設置方法は驚きの自由落下

FPSOを係留する重量120トンの杭設置方法は驚きの自由落下石油プラットフォーム

 ブラジルの沖合に位置するMeroフィールドと呼ばれる海底油田の開発プロジェクトに用いられるFPSO。その「FPSO Guanabara MV31」を係留する杭が驚きの方法で設置されてました。

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FPSO Guanabara MV31

「FPSO Guanabara MV31」
出典:MODEC

 ブラジルのリオデジャネイロ沖合、約180kmに位置するMeroフィールドと呼ばれる海底油田の開発プロジェクトに用いられる「FPSO Guanabara MV31」。

FPSOとは?

 FPSOとは、Floating Production, Storage and Offloading system(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)のこと。

 海洋油田・ガス田のある洋上で石油・ガスを生産するための浮体式設備。生産した原油を船体内の貯油タンクに貯蔵し、輸送タンカーへ積出する。長いもので20年以上洋上での生産活動を行う。

 その多くは船舶の形をしており、固定式プラットフォームと比較して様々なメリットがある。

  • 水深300mが限界と言われる固定式プラットフォームに対し、水深1,000m超の大水深海域にも対応
  • 洋上での位置を一定に保つ強固な係留設備により、厳しい海気象条件下にも設置可能
  • パイプライン等インフラの建設が不要なため、工期を短縮し費用を抑えることが可能
  • 洋上での工事が少ないため、生産開始までの期間が短い
  • 別の海域にある油田に移設し再利用することが可能
「FPSO Guanabara MV31」の設置位置
出典:MODEC

係留方法

日量18万バレルの原油生産能力、日量424百万立方フィートのガス生産能力、日量22万5千バレルの水圧入能力、140万バレルの原油貯蔵能力を持つ本FPSOは、当社米国子会社のSOFEC, Inc.が設計・納入したSpread Mooring(多点係留)と呼ばれる係留設備で、水深約2,100mの海上に係留されています。

FPSO Guanabara MV31 | プロジェクト・実績 | 三井海洋開発 MODEC

 「FPSO Guanabara MV31」で採用されている係留方法は、Spread Mooringと呼ばれる多点式係留。海象条件としては比較的穏やかな地域での係留方法として使用される。

 使用する係留設備は24点。これを4つのグループに分け、各6点をそれぞれ船首、船尾の左舷、右舷に取り付けてFPSOを固定する。

Spread Mooring(多点式係留)
出典:Sofec

 係留する方法は理解できますが、FPSOを設置するMeroフィールドと呼ばれる海底油田がある海域の水深はなんと2,100m。なので通常の錨、アンカーなどを反力にするのではなく、杭を打ち込んで反力を確保する。

 どうやって水深2,100mに杭を設置するんだろう?という疑問が。

 そして、施工を行ったのはJUMBOが所有する900トン吊りクレーンを2基搭載した「FAIRPLAYER」という重量物運搬船。なおさら、どうやって?という疑問が強くなります。

DP2 Heavy Lift Crane Vessel「FAIRPLAYER」

DP2 Heavy Lift Crane Vessel「FAIRPLAYER」
出典:Jumbo Maritime
船名FAIRPLAYER
総トン数15,027トン
載貨重量トン数10,700トン
クレーン能力900トン吊り×2基
長さ144.1m
26.7m
深さ14.1m
宿泊設備75人
速力17ノット
「FAIRPLAYER」の概要

 Huisman製の900トン吊りマストクレーンを2基搭載する重量物運搬船。港内ではタンデムリフトにより1,800トンの吊り上げ能力がありますが、洋上ではタンデムでも1,000トンに制限される。

 水面下への吊り下げ能力は、フックブロックへの巻掛け数により変わりますが、最大で水深3,000mまで対応可能(吊り上げ能力200トン)。

 今回の作業水深は2,100mなので、水深3,000mまで対応可能な200トン吊り仕様になってると思います。

吊り下げ水深吊り上げ能力
1,000m1,000トン
1,500m660トン
2,000m280トン
3,000m200トン
水面下へ吊上げ時のクレーン能力

魚雷杭(torpedo pile)設置

FPSOを係留する重量120トンの杭設置方法は驚きの自由落下
魚雷杭(torpedo pile)の建て起こし(重量 120トン)

 いよいよ、魚雷杭(torpedo pile)の設置。

 恐ろしい名前の杭ですが、そう呼ばれているようです。見た目のデザイン的にもカラーリングが少し異様に見えます。

Jumbo Maritimeの掲載記事

The installation process involved lowering the torpedo pile to a set depth above the seabed. It is then released, free-falling at high speed through the water before penetrating the seabed.

(設置プロセスでは、魚雷杭を海底から設定された深さまで下げました。その後、海底を貫通する前に水の中を高速で自由落下して放出されます。)

Petrobas torpedo torpedo pile mooring system | Offshore News (jumbomaritime.nl)

 驚愕の自由落下(free-falling)。そして、高速(high speed)

 施工している動画を見てみたかったですが、自由落下させている場面は見つけれませんでした。万が一、突き刺さらなかった場合は再チャレンジするんでしょうね。

 海底面へ杭を刺した後に、埋まり込んだ深度をROVで確認するために白いラインを杭全周にマーキングしてたのかも。そこまで長い杭では無いので全部埋まり込む可能性はありますが。

従来よりも効率的な設置方法

 自由落下で設置する魚雷杭(torpedo pile)の施工は、従来方法だとアンカーハンドリング船2隻ないし3隻を使用して施工していたそうです。それが、クレーンとDP性能を搭載した重量物運搬船による施工だと1隻で設置ができて効率的だそうです。

 世界にはまだまだ知らない技術があるもんですね。

魚雷杭(torpedo pile)を設置するアニメーション動画

 見つけたのはリアルでは無くアニメーションで、施工を行うのもクレーン付きの重量物運搬船ではなく、アンカーハンドリング船。ですが、概要は分かり易いです。

海底地盤に突き刺さった魚雷杭(torpedo pile)
出典:Youtube | 1navsoft

 アニメーションだと完全に埋まり込んでます。こんなに埋まり込むかな。海底地盤によるんでしょうけど。

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コメント

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