TWDがMaersk向けのモノパイル輸送・設置コンセプトを発表
A New Monopile T&I Concept for Maersk Wind Installation Vessel
(Maersk風力設置船向けの新しいモノパイル輸送および設置コンセプト)
出典:https://twd.nl/articles/a-new-monopile-ti-concept-for-maersk-wind-installation-vessel/
2024年11月21日、TWDはMaersk Offshore Windと共同で開発している新しいモノパイル輸送および設置コンセプトを発表しました。
新たに開発しているモノパイル輸送および設置コンセプトは、現在Maersk Offshore Windが建造している洋上風力設置船に適した効率的なフィーダリング方法により、操作性が向上し、安全で効率的なモノパイル設置が保証されるという。
TWDは掲載情報の中で、Maersk Offshore Windの豊富な実務経験とTWDのエンジニアリングメソッドの実践を組み合わせることで、無駄のないコンセプト開発が実現したと述べている。将来的にはさらに大きなモノパイルへの適応といったこのコンセプトの可能性を認識しながら、高い運用効率を目指しているという。
新たなモノパイル輸送および設置コンセプトが必要な理由・・?
Maersk Offshore WindのSEP船は、シンガポールのSeatriumで建造されており、2025年半ばに引き渡し予定。
シンガポールで建造しているMaersk Offshore WindのSEP船は、米国建造というジョーンズ法の要件を満たしていないため、アメリカ国内の拠点港で風力タービン部材を積み込み、設置場所へ運搬することが出来ないと、少し前まで私も認識していましたが、風力タービン基礎であるモノパイルに限ってはそうではない。
アメリカのジョーンズ法による洋上風力建設への影響
アメリカ国内の地点間における国内輸送(内航)をおこなう船舶を限定するジョーンズ法と呼ばれる法律。その要件には米国船籍、米国人配乗、米国人所有に加えて、他国には無い米国建造という要件が含まれており、洋上風力発電所建設時の大きな障壁となっている。
- 米国船籍
- 米国人配乗
- 米国人所有
- 米国建造
ジョーンズ法の影響を受ける風力タービン設置作業では、SEP船など他国建造の設置船甲板に部材を積み込みして拠点港から設置場所へ運ぶことが出来ないため、ジョーンズ法に準拠した船舶で運搬する方法以外にも様々な対策が考えられている。
モノパイルなどの基礎設置後に施工する風力タービン本体の設置作業ではジョーンズ法の影響を受けますが、モノパイルに関しては基礎を設置するまで ”米国内の地点” ではないため、ジョーンズ法は適用されなかったはず・・。
モノパイルではなく風力タービン部材の輸送および設置コンセプトなら理解できるんですけど、今回の開発したコンセプトはどこで使用する想定なんでしょうか?
モノパイル輸送および設置コンセプト
TWDはYouTubeに ”モノパイル輸送および設置コンセプト” のイメージ動画をアップロードしています。
動画によると、輸送台船に搭載したモノパイルをプッシャー方式で設置エリアのSEP船へ輸送。接舷前に輸送台船に搭載した装置でモノパイル上部を上昇させ、SEP船の船体切り欠き部分に着船。
波浪による揺れを低減させるために、SEP船の船底からジャッキのようなもので輸送台船の甲板を下に押し込み。この状態でSEP船のクレーンにより玉掛けをおこない、モノパイルを垂直状態まで建て起こして吊り取りといった流れ。
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