SEP船「Sea Challenger」大規模アップグレード開始
2カ月ほど前の情報ですが、SEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレードは気になっていたので取り上げました。
2024年6月19日、Seatrium(旧Sembcorp Marine)はLinkedInの投稿でSEP起重機船「Sea Challenger」の大規模アップグレードに向けた鉄鋼切断式をおこない、プロジェクトを開始したと発表。
Seatriumが公開した画像に映る横断幕の上部中央に書かれている通り、SEP起重機船「Sea Challenger」アップグレードのクライアントは、五洋建設とDEMEの合弁会社であるJapan Offshore Marine(JOM)。
JOMは2021年10月に設立し、資本金は1億円、出資比率は五洋建設 51%、DEME Offshore 49%。日本の洋上風力プロジェクトにおいて、洋上風力の基礎工事、風力タービンの設置及び海底ケーブルの敷設等に関する調査、設計、資機材調達、施工を実施する予定。
さらにJOM設立時のプレスリリースの中で、現在DEME Offshoreが保有するSEP起重機船「Sea Challenger」を900トン吊りから1,600トン吊りへアップグレードした上で日本船籍化することが発表されており、その作業がシンガポールのSeatriumで進められるようです。「Sea Challenger」は2025年春の供用開始を目指し、JOMで保有する予定。
クレーン能力増強に加えて船体の拡幅とレグの延長も実施
出典:Wikipedia | Thomas Dahlstrøm Nielsen, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons
SEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレードについては、クレーン能力の増強に加えて船体の拡幅とレグの延長を実施することが発表されています。クレーン能力については、900トンから1,600トンへの増強が発表されていますが、船体の拡幅とレグの延長について具体的な数字は発表されていないので不明。
SEP起重機船「Sea Challenger」は、DNVで船級登録されており、鉄鋼切断式の横断幕にもDNVと書かれているのでアップグレード後も引き続きDNVで船級登録する模様。
項目 | アップグレード前 | アップグレード後 |
---|---|---|
クレーン能力 | 900トン | 1,600トン |
ブーム長さ | 95m | ? |
長さ | 133.25m | 133.25m |
幅 | 39.00m | ? |
深さ | 9.00m | 9.00m |
ペイロード | 6,000トン | ? |
デッキ面積 | 3,350m2 | ? |
レグ長さ | 82.5m | ? |
船籍 | デンマーク | 日本 |
年間約330億円の投資計画を発表している五洋建設
2023年5月に五洋建設が発表した中期経営計画(2023~25年度)の中で明らかにされていた年間約330億円の投資計画。そのうち大部分となる年間約300億円を洋上風力建設に用いる大型作業船建造の設備投資にあて、DEMEが保有するSEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレード・日本船籍化やケーブル敷設船、5,000トン吊りクラスの大型基礎設置船建造を計画しているそうです。
2024年1月5日掲載の日刊建設工業新聞では、5,000トン吊りクラスのクレーンを搭載した自航式クレーン船建造について、2024年夏までに建造契約を締結する考えであることが報じられていましたが、現時点で動きがあったという情報はまだ公表されていません。
作業船種別 | 建造契約時期 |
---|---|
ケーブル敷設船(自航式) | 2024年春 |
5,000トン吊りクレーン船(自航式) | 2024年夏 |
風車部材の運搬船 | 検討中 |
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