神戸沖で貨物船と押船が衝突、転覆した押船から7時間後に1人救助
2024年11月23日午後6時ごろ、神戸港沖で全長229mのばら積み貨物船「YIANNIS N.G.」と全長14mの押船「奨栄丸」(SHOEIMARU)の衝突事故が発生。
貨物船「YIANNIS N.G.」の乗組員21人にけがはありませんでしたが、押船「奨栄丸」の方は衝突により転覆。事故当時「奨栄丸」には乗組員3人が乗船しており、1人は間もなく救助され、2人の行方が分からいない状態に。衝突事故からおよそ2時間後の23日午後8時過ぎに船長の男性が救助されましたが、搬送先の病院で死亡を確認。
行方が分からなくなっていたもう1人の乗組員は、衝突事故からおよそ7時間後の24日午前1時前に船内から救助。病院に搬送され手当てを受けていますが、意識はあるという。
貨物船「YIANNIS N.G.」と押船「奨栄丸」のAIS航跡
貨物船「YIANNIS N.G.」と押船「奨栄丸」双方のAIS航跡を確認。地図上にプロットし、押船「奨栄丸」の確認できる最終航跡位置付近が衝突位置だと推定されます。
押船「奨栄丸」は11月23日午後3時ごろに兵庫県明石市二見町を出発していました。事故当時、台船を運んでいたようですが台船を押していたのか、曳航していたのかは不明。AISで確認できる最終位置は、23日午後6時02分で針路はほぼ北向き、速力7ノット。
ばら積み貨物船「YIANNIS N.G.」は11月23日午前9時30分ごろ、ポートアイランド西側の岸壁に到着し、同日午後6時前に離岸して港外へ向かって南進していた時に衝突事故が起きたようです。
両船のAIS航跡が重なっている衝突推定位置を過ぎたところで貨物船「YIANNIS N.G.」の針路が大きく右へ曲がっているのは衝突を回避する動きのように見えます。
「奨栄丸」は台船を運んでいたようですが、本船のみ転覆していることを考えると押船方式ではなく曳航していた可能性のほうが高いのではないでしょうか。
運輸安全委員会が事故調査官3人を現地に派遣
11月23日、ばら積み貨物船「YIANNIS N.G.」と押船「奨栄丸」の衝突事故に関して、原因調査のため運輸安全委員会は事故調査官3人を現地に派遣したそうです。
調査官は24日午後6時ごろ現地に入り、神戸海上保安部で事故の状況について説明を受けたあと、双方の乗組員への聞き取りや船体損傷の確認をおこなう予定。
原因調査が進めば事故当時の状況はいずれ明らかになり、衝突事故につながった要因も特定されるはず。類似災害を未然に防ぐため、事故調査報告書の公表が待たれます。「奨栄丸」に乗船していた乗組員はいずれもご高齢の方だったので、そのあたりも事故要因に関係しているのか気になるところ。
押船「奨栄丸」
船名 | 奨栄丸 |
総トン数 | 19トン |
長さ | 14m |
幅 | 5m |
ばら積み貨物船「YIANNIS N.G.」
船名 | YIANNIS N.G. |
総トン数 | 43,291トン |
載貨重量トン | 81,043トン |
長さ | 229m |
幅 | 32.26m |
深さ | 20m |
建造年 | 2014年7月 |
船籍 | マーシャル諸島 |
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