「Baltic Power」で最初の15MW風力タービン設置


2025年7月7日、ポーランド沖に建設が進められている「Baltic Power offshore wind farm」で最初の15MW風力タービン設置が完了しました。
「Baltic Power offshore wind farm」は、ポーランド初の洋上風力発電所としてORLENとNorthland Powerの合弁会社がポーランド沖23kmのバルト海で開発を進めており、Vestasの15MW風力タービン「V236-15.0MW」を76基設置する計画。約1.2GWの発電容量により、ポーランド国内の電力需要のうち約3%に相当する年間4TWhを発電し、年間約280万トンのCO2排出量を削減するという。運転開始は2026年の予定。
SEP起重機船「Wind Osprey」による風力タービン設置

「Baltic Power Offshore Wind Farm」で15MW風力タービン設置をおこなったのは、Cadelerの1,600トン吊りSEP起重機船「Wind Osprey」。
Vestasの「V236-15.0MW」はブレード長さ115m、タワーの高さは120mを超え、基礎部分を含めた風力タービンの高さは260m。
15MWの風力タービンともなると半端ない大きさですが、2024年にメインクレーンを載せ替える大規模アップグレードを完了したSEP起重機船「Wind Osprey」は、最大吊り上げ能力が以前の1,200トンから1,600トンへ増強され、揚程は甲板上132mから160mへアップグレードされました。施工時の画像からもまだ揚程に余裕があることを確認できます。


SEP起重機船「Wind Osprey」の甲板上には3セットの風力タービン部材が積まれており、設置エリアの西に位置するデンマークのボーンホルム島にあるレネ(Rønne)で全76基の積み込み作業をおこなっている。

船名 | Wind Osprey |
クレーン能力 | (メインフック)1,600トン (補助フック)425トン |
揚程 | 160m(甲板上) |
長さ | 160.9m |
幅 | 49.0m |
深さ | 10.4m |
レグ長さ | 105m |
最大作業水深 | 60m |
ジャッキアップ 最大積載重量 | 11,000トン |
スラスター | (船尾)アジポッド 3.4MW×4 (船首)格納式アジマス 2.2MW×2 (船首)トンネル 2.2MW×2 |
速力 | 13ノット |
甲板スペース | 4,300m2 |
甲板強度 | 15t/m2 |
DPS | DP2 |
特殊杭打ち船「Svanen」によるモノパイル設置

出典:Van Oord
2025年2月に「Baltic Power offshore wind farm」ではVan Oordの特殊杭打ち船「Svanen」による最初のモノパイル設置完了が発表されています。
モノパイルは重量約2,000トン、直径9m以上、長さ約105m。特殊杭打ち船「Svanen」での施工のため、巨大なモノパイルは浮かべた状態で曳航され、設置エリアまで運ばれました。
モノパイルは、ドイツのノルデンハム(Nordenham)にあるSteelwindで製造後、台船に搭載してデンマークのボーンホルム島(Bornholm)西部のレネ(Rønne)へ輸送。そこで進水・曳航に必要となるモノパイル上下の開口部を塞ぐ蓋の取付などがおこなわれ、進水して曳航。

Baltic Power Offshore Wind Farm

名称 | Baltic Power Offshore Wind Farm |
設置位置 | ポーランド沖合23kmのバルト海 |
発電容量 | 1,140MW |
基礎構造 | 着床式、モノパイル |
タービンメーカー | Vestas |
風力タービン | 15MW「V236-15.0MW」 |
設置基数 | 76基 |
運転開始 | 2026年 |
事業者 | PKN ORLENとNorthland Powerの合弁会社 |
その他 | 洋上変電所2基(モノパイル基礎) |
よく読まれている記事