高知港で座礁したガット船「marumasa12号」、原因は飲酒に起因する誤認

高知港で座礁したガット船「marumasa12号」、原因は飲酒に起因する誤認 国内ニュース
スポンサーリンク

高知港で座礁したガット船「marumasa12号」、原因は飲酒に起因する誤認

2026年4月23日、運輸安全委員会は高知県高知市高知港で起きたガット船「marumasa12号」の乗り揚げ事故(2024年12月8日発生)に関する船舶事故調査報告書を公表しました。

リンク先 船舶事故調査報告書 | 貨物船兼砂利運搬船marumasa12号乗揚(PDFファイル)

酒気帯びで判断力低下、10号灯浮標を6号灯浮標と誤認

ガット船「marumasa12号」は高知港第5埠頭の専用岸壁で石灰石約2,100トンを積載し、ほぼ満載状態で2024年12月8日09時45分ごろ、兵庫県東播磨港に向けて出航。そして、出航してから13分後の同日09時58分ごろ、高知港内の高知市仁井田にいだ西方の浅所に乗り揚げた。

運輸安全委員会が公表した船舶事故調査報告書によると、ガット船「marumasa12号」には船長ほか4人が乗船しており、操船していたのは船長。

船舶事故調査報告書では事故原因について、船長が酒気帯び状態で操船し、アルコールの影響で判断力が低下する中、船位を確認しないまま左方に開けた海域を見て10号灯浮標を6号灯浮標と誤認して乗り揚げ事故が起きたとしている。

10号灯浮標を6号灯浮標と誤認した飲酒以外の要因として事故当時、船長は電子海図表示装置(ECS)及びレーダーを作動させていたものの、普段からECSやレーダーを有効に使用せず専ら目視で操船をおこなっていたため、進路を誤認していることに気付かなかったことが挙げられている。

船長の呼気アルコール濃度は推定0.375mg/L

事故発生から約1時間30分後の12月8日11時30分ごろ、海上保安庁の職員が船長の呼気アルコール濃度を2回計測したところ、0.20mg/L と 0.25mg/L だったという。ウィドマーク計算法という飲酒量と飲酒時刻が特定されていた場合に事故時の血中(呼気中)アルコール濃度等を算出する計算法によると、事故時の呼気アルコール濃度は 0.375mg/L 。この数値は、道路交通法施行令に規定される酒気帯び運転に当たるアルコールの程度(血中濃度0.3mg/ml又は呼気中濃度0.15mg/L)と比較した場合、基準値を上回る数値。

ガット船「marumasa12号」の船舶管理会社は乗組員に対して当直前、アルコール検知器を用いて測定したアルコール濃度をアルコール検査記録簿に記入するよう指導していた。しかし、当直前にアルコール検知器を用いた検査がおこなわれておらず、船舶所有者および管理会社はアルコール検査が形骸化していることを把握していなかった。

アルコール検査記録簿には、アルコール検知器の濃度(数値等)を 0、酒気帯びの有無を無と記載されていた。

誤認に至るもう一つの要因は電話

10号灯浮標と6号灯浮標の位置関係からすると、10号灯浮標通過後に左へ針路を向けたことは誤認していたのであれば理解できる。ただ、事故当時の天候は晴れ、時刻は午前10時前で日中、視界良好という状況。このような状況で酒気帯び状態の船長が誤認に至ったもう一つの要因は、電話での通話

船舶事故調査報告書に記載されている ”事故の経過” によると、航路南進中に左転を開始したのは座礁するおよそ2分前の09時56分ごろ。この時、船長は高知港の港内管制室に電話をかけて入航船の有無について問い合わせている。

高知港の港内管制室の担当者は、船長からの問合せに対し、入航船はない旨答えた後、本船が航路を外れて陸岸に向かっていることを監視モニターで認めたので、造船所に向かっている旨船長に報告した。これに対し船長から「橋の下を通過しているので、AISを確認してくれ」と返答があったが、意味がよく分からなかった。

出典:船舶事故調査報告書 | 貨物船兼砂利運搬船marumasa12号乗揚 | 事故の経過(https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2026/MA2026-4-4_2024kb0113.pdf)

アルコールの影響で判断力が低下していたことに加えて、電話で通話していたことで誤認に至ったことが想像できますが、船舶事故調査報告書の原因や再発防止策に電話での通話に関する記載は無い。

船舶所有会社が同種事故の再発防止策として実施した対策
  • 事故後、管理する船舶に対して、航行前のアルコールチェックを徹底することとし、アルコール濃度の検査日時、検知量、検査場所、被検査者の検査中の写真等が船舶所有会社に衛星通信で送信されて確認できるアルコール検知器とアプリを導入
今後の同種事故等の再発防止に役立つ事項
  • 船舶の乗組員は、安全管理規程を遵守し、酒気帯び状態で操船や当直業務を行わないこと
  • 安全統括管理者は、乗組員に対して、アルコールが及ぼす悪影響(判断力の低下等)や飲酒に係る安全管理規程の規定の内容を十分に理解させ、酒気帯び状態で業務に就くことがないよう飲酒管理及び教育を徹底すること。具体的には、専門家による飲酒が運航に及ぼす危険性に関する講習が考えられる
  • 船舶管理を行う事業者は、乗組員に対して、業務に就く前のアルコール検査を有効かつ確実な方法で行わせるとともに、検査の実施状況を抜き打ちで点検することが望ましい

ガット船「marumasa12号」

船名marumasa12号
総トン数744トン
載貨重量トン2,296トン
長さ81.8m
14.0m
深さ8.1m
喫水(満船)船首3.92m
船尾5.60m
ガット船「marumasa12号」
出典:Marinetraffic | M Yohei
スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

タイトルとURLをコピーしました