日本企業が所有する自動車運搬船がオランダ沖で火災、沈没の恐れ
2023年7月25日23時45分(現地時間)、オランダ沖を航行する全長約200mの自動車運搬船「FREMANTLE HIGHWAY」の船倉から火災が発生。
当該船の実質船主である愛媛県今治市に本社を置く正栄汽船株式会社が7月26日に発表した内容によると、シンガポールへ向けてドイツを出港した自動車運搬船「FREMANTLE HIGHWAY」には事故当時、インド人の乗組員21人が乗船しており、1名の死亡が確認されているという。
自動車運搬船「FREMANTLE HIGHWAY」の概要
船名 | FREMANTLE HIGHWAY |
船種 | 自動車運搬船 |
総トン数 | 59,525トン |
長さ | 199.97m |
幅 | 32.26m |
建造年 | 2013年12月 |
建造場所 | 今治造船 |
オランダ沿岸警備隊による発表
オランダ沿岸警備隊(Kustwacht Nederland)は、自動車運搬船「FREMANTLE HIGHWAY」から火災発生の報告を受けてヘリコプターやボートを現地に派遣し、乗組員を救助するとともにボートから火災の消火活動をおこなっている。
ホームページ上に作成された今回の事故に関する更新ページでは随時最新情報が更新され、刻々と変化する現場の状況が報告されています。
その中で乗組員全員が避難したとしていますが、残念ながら1人が死亡したと発表。死亡原因については不明。乗組員の人数については23人となっており、船主である正栄汽船が発表した21人という人数と異なりますが、どちらが正確な数字なのかは不明。乗組員の多くは沿岸警備隊のヘリコプターによって救助されたようですが、一部の乗組員は船から海へ飛び込み、救命ボートによって救助されたことが伝えられ一刻を争う緊迫した現場の状況が想像される。
緊急曳航索で自動車運搬船の動きを制御
7月27日15:32更新の情報では、風と潮流による影響で自動車運搬船は西に向かって流されているという。ですが、タグボート「HUNTER」が緊急曳航索を自動車運搬船に接続し、ある程度動きを制御しているそうです。確かに風上の船尾側から少し離れた位置で蹴り波を立てているボートが確認できる。
緊急曳航索(emergency towing)というものが、どのような仕組みになっているのか分かりませんが、急に自動車運搬船が沈没し始めた時に迅速な操作で曳航索を解除できるというものだと思われる。曳航索を掛ける時に通常使用するフックもすぐに解除できる仕組みになっていますが、テンションがかかった状態だと解除しにくい構造なので、何か特別な工夫が施されているのかも。詳しくは分かりません。
船名 | HUNTER |
船種 | タグボート |
総トン数 | 373トン |
長さ | 39m |
幅 | 9m |
建造年 | 1973年 |
消火活動による放水で沈没する恐れ
7月27日の時点でまだ火災は鎮火していませんが、自動車運搬船への放水は常時おこなわれなくなったそうです。というのも、消火活動による放水で船内に水が入り込み、それが原因で船が沈没する可能性が出てきているため。船内への不必要な水の侵入を抑える目的で、火災の具合を見ながら放水されているという。
とはいえ、火災により船体が破損して沈没するということも考えられるので難しい判断。船体の沈没という最悪の結末を回避しつつ、火災を鎮火しなければならない。
消火活動の様子
Het kustwachtvliegtuig heeft beelden gemaakt van het schip Fremantle Highway. Updates over dit incident staan op ons liveblog (evenals het 🎥beeld voor de media): https://t.co/gWwfcKau0z pic.twitter.com/5725cNodUh
— Kustwacht Nederland (@Kustwacht_nl) July 26, 2023
最新情報
7月27日18:55(日本時間 28日01:55)、タグボート「HUNTER」から「Fairplay 30」へ緊急曳航索の引継ぎがおこなわれました。状況は安定しており、火災の勢いは弱まってきていますが依然として多くの煙が出ている状況。現場では船と航空機からの監視が引き続きおこなわれています。
船名 | FAIRPLAY 30 |
船種 | AHT |
総トン数 | 787トン |
長さ | 39m |
幅 | 12.7m |
建造年 | 2008年 |
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