水深60mから引き揚げられた「白虎」の船底が海面に姿を現す
2023年8月25日、衝突事故によって2年前に来島海峡で沈没した貨物船「白虎」の船体を引き揚げる作業で、ついに船底部分が海面に姿を現した。全長約170mという巨大な「白虎」の船体は全貌を現した訳ではありませんが、水深60mの海底から引き揚げたということを考えると想像を絶する作業。
潜水調査時の映像から「白虎」の船体がひっくり返って沈没していることは明らかになっており、引き揚げ作業によって海面に姿を現したのは、船首側の船底部分。報道されている映像を見ると、数カ所から泡が上がってきているのが確認できるので、コンプレッサーにより「白虎」船体に圧縮空気を常に送りながら引き揚げ作業をおこなっていることが想像出来る。
そして、海面に姿を現した「白虎」の船首部分の位置関係から、チェーンプラーで引き揚げている部分は船体の中央ではなく船首側に偏っているというのが分かる。なぜこのようにしているのか正確な理由は知りませんが、浮力を利用して吊り上げるため船体を傾斜させていた方が安定するのかもしれません。てっきり水平に近い状態で引き揚げられると思っていたので少し驚きました。
ですが、これだけ傾いたままだと船尾側はかなり深い位置になりそうなので、半潜水バージに搭載するのが難しそう。最初から搭載する気がなかったのか、小部湾で再び吊り上げ直して搭載するのか、どうにかすると水平に近い状態になるのか。作業の進め方にも注目。
8月26日午後に小部湾へ曳航予定
報道されている情報によると、8月26日午後には小部湾へ「白虎」を曳航する予定だという。来島海峡の潮流は、お昼の12時頃が転流と呼ばれる流れが緩くなる時刻で午前11時から午後1時の間が2ノット以下の潮流になっている。台船2隻の係留解除に1~2時間かかることを考えると10時頃から潮流の状況を確認した上でアンカーを回収し始めるのかもしれない。
よく読まれている記事