世界最大の浮体式風力発電プラットフォーム「OceanX」組立完了

出典:龙船风电网
2024年7月3日、中国の明陽智能(MingYang Smart Energy)が建造している世界最大の浮体式デュアル洋上風力プラットフォーム「OceanX」の組み立てが完了。
中国の報道記事では「OceanX」の他に ”明阳天成号” という名称で呼ばれている浮体式洋上風力プラットフォームには、V字型のタワー先端にそれぞれ8.3MWの風力タービンが設置されており、合計容量は16.6MW。重量を意味する排水トン数は約15,000トン。水面上からの最大高さは219m、最大幅は369m。稼働すると約54GWhの年間発電電力量が見込まれている。
名称 | OceanX |
出力 | 16.6MW(8.3MW×2) |
全体重量 | 約15,000トン |
曳航喫水 | 5.5m |
水面上高さ | 219m |
最大幅 | 約369m |
年間発電電力量 | 約54GWh |
浮体基礎には115N/mm2という超高強度コンクリートを使用
浮体基礎は3つのポンツーンとコンクリートアーム、コネクタで構成されており、コンクリートは115N/mm2のコンクリートを使用しているという。日本国内では圧縮強度が50N/mm2以上のコンクリートは高強度コンクリート、80~100N/mm2以上のコンクリートは超高強度コンクリートと呼ばれるので、圧縮強度115N/mm2のコンクリートは超高強度コンクリートに該当する。
コンクリートの強度は水セメント比によって決まるため、単位水量を少なくする目的で流動化剤などを使用して必要な施工性能を確保した上で水量を下げる配合が組まれる。しかし、潜在的な硬化遅延性やセメント量増加によって増えた粉体へ混和剤が過敏に反応することなどから一定の性状を確保する品質管理は難易度が高い。
さらに、ポンツーンはグラスファイバー、XPSコア、保護コーティングといった組み合わせで製造されており、重量軽減に加えて波力抵抗を軽減する流線型の楕円体設計を可能にしている。
一点係留によるダウンウィンド方式を採用


出典:X | Sergio Fdez Munguía(@Sergio_FerMun)
「OceanX」の浮体基礎とタワーは13本の主ケーブルと6本の補助ケーブルで連結されている。一定の張力によってタワー荷重が大幅に軽減され、タワー構造の軽量化を図っている。
タワーとナセルは一体化しているため、風向きに合わせてナセルを回転させることは出来ませんが、浮体式洋上風力で多く見られる一点係留によるダウンウィンド方式を採用。これによりヨー制御が不要となるため、さらなる軽量化につながっている。
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