米国初の大規模洋上風力で風力タービン5基が発電開始

米国初の大規模洋上風力で風力タービン5基が発電開始 洋上風力発電
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米国初の大規模洋上風力で風力タービン5基が発電開始

Avangridのプレスリリース【2024年2月22日掲載】

Avangrid Powers Up Five Vineyard Wind 1 Turbines, Delivers Clean Energy to 30,000 Massachusetts Homes

(Avangrid が 5 台の Vineyard Wind 1 タービンを稼働させ、マサチューセッツ州の 30,000 世帯にクリーン エネルギーを供給)

https://www.avangrid.com/w/avangrid-powers-up-five-vineyard-wind-1-turbines

2024年2月22日、商用規模の洋上風力発電所としてはアメリカ初となる「Vineyard Wind 1」で設置完了した風力タービン5基が稼働を始め、送電網への電力供給を開始。

Avangrid と Copenhagen Infrastructure Partners(CIP)によってプロジェクトが進められている「Vineyard Wind 1」では、出力13MWのGE製風力タービン「Haliade-X」を62基設置する計画になっており、総発電容量は806MW。

Avangridのプレスリリースによると、現在5基の風力タービンで時間当たり約68MWの電力をニューイングランド(米国北東部の6州)の送電網に供給しているという。世帯当たりの消費電力量に換算すると、13MWの風力タービン1基の稼働で6,000世帯分となり、5基分では30,000世帯分。そして、フル稼働すると40万世帯分になるそうです。

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現在の風力タービン設置完了数は9基、遅すぎない?

プレスリリースが発表された2月22日の時点で設置が完了している風力タービンは62基のうち9基。そして、10基目の設置がおこなわれており、11基目の風力タービン部材を運搬する準備が進められているという。

率直な印象としては非常に進捗が遅いと思いました。

風力タービン基礎のモノパイル設置作業はDEMEの5,000トン吊りクレーン船「Orion」によって2023年6月に開始。その後、風力タービンの設置作業は1,600トン吊りへアップグレードしたSEP起重機船「Sea Installer」により2023年9月に開始されています。

昨年9月から2024年2月までの5ヶ月間で9基。10基目を設置中ということなので、5ヵ月間で10基設置という施工日数で62基分を計算すると、31ヶ月 = 2年7カ月。完成は2年以上先という恐ろしい結果に。

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ジョーンズ法が施工日数増加に大きく影響

Haliade-Xを台船運搬、ジョーンズ法のもとタービン設置開始
ニューベッドフォードを出港する風力タービン部材を積んだ運搬台船
出典:Vineyard Wind
米国初の大規模洋上風力で風力タービン5基が発電開始
風力タービンを設置するSEP起重機船「Sea Installer」
出典:Avangrid

このままのペースで施工を進めると2024年末のフル稼働はおろか、半分も設置が終わっていないという状況になりかねない。この深刻な状況に大きく影響を与えているのは、恐らくジョーンズ法に謳われているアメリカ特有の米国建造要件だと思われる。要件をクリアするSEP船がアメリカにいないことから、風力タービン部材を拠点港で設置船に積み込むことが出来ない

アメリカ国内でもSEP船が建造されており、他にも様々な方法が考案されていますが、「Vineyard Wind 1」で採用されている対策は主に、Barge Masterの動作補償プラットフォームとSeaqualizeのリフティングデバイス。しかし、肝心な風力タービン部材を運ぶ運搬船は非自航式の平台船を使用しているため、稼働率が低くなっていることが予想される。

SEP船に搭載したクレーンを使用するとしても、沖合で平台船から大きな風力タービンの部材を吊り取る作業は気象・海象により作業中止の日が多くなることは必然的な現象。

建造中のSEP船がある程度完成するまでの時限的な措置としてジョーンズ法を免除すればいいと思いますが、そんな簡単には出来ないんでしょうね。結果的に自国民の作業員や船員の方が超絶危険作業を強いられるという本末転倒な状況はどうにかしないとマズそう。

 アメリカのジョーンズ法による洋上風力建設への影響

アメリカ国内の地点間における国内輸送(内航)をおこなう船舶を限定するジョーンズ法と呼ばれる法律。その要件には米国船籍、米国人配乗、米国人所有に加えて、他国には無い米国建造という要件が含まれており、洋上風力発電所建設時の大きな障壁となっている

ジョーンズ法の影響を受ける風力タービン設置作業では、SEP船など他国建造の設置船甲板に部材を積み込みして拠点港から設置場所へ運ぶことが出来ないため、ジョーンズ法に準拠した船舶で運搬する方法以外にも様々な対策が考えられている。

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「Vineyard Wind 1」の概要

「Vineyard Wind 1」の概要
  • 設置位置:マサチューセッツ州 マーサズ・ヴィンヤード島沖15マイル
  • 発電容量:800MW
  • 風力タービン:GE Haliade-X 13MW、62基
  • 風車基礎:着床式、モノパイル
  • 運転開始予定:2024年(2023年末から順次運転開始)

設置したGE製の風力タービン「Haliade-X」の出力は13MWで、1基当たりの発電電力量は6,000以上の家庭で消費する電力量に相当するという。「Vineyard Wind 1」では、62基の風力タービン設置が計画されており総発電容量は806MW。運転を開始するとマサチューセッツ州の40万以上の家庭や企業で消費する電力の供給が見込まれている。

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