自動車運搬船「久洋興」の命名・就航式
2023年12月4日、上海で自動車運搬船「久洋興」(JIUYANG BLOSSOM)の命名・就航式がおこなわれました。船の全長は199.9m、幅32.26m、車両の積載量は7,000CEU。
中国では自動車輸出の急増に伴い、自動車運搬船の輸送容量がひっ迫しているという。そのため、既存のコンテナ船を使用した車両のコンテナ輸送を試みているようですが荷役効率や埠頭への対応能力は自動車運搬船に遠く及ばない。一方で、ランプウェイにより車両を自走で積み降ろしできる自動車運搬船は、荷役効率や積載容量については申し分ありませんが、多くの車両を積載するため構造が多層にわたり、新船の建造期間が長いという難点がある。
このたび中国で就航した自動車運搬船「久洋興」は、2007年にクロアチアの造船所で建造された中古船。見た目は外板の塗装がキレイに塗り直されて新船のように見えますが建造から15年が経過しています。今後も自動車輸送需要増加を補う方法として、中古船購入による導入は増えてくるかもしれません。
自動車運搬船「久洋興」(JIUYANG BLOSSOM)
船名 | 久洋興 JIUYANG BLOSSOM |
総トン数 | 55,775トン |
載貨重量トン | 16,889トン |
長さ | 199.9m |
幅 | 32.26m |
速力 | 13ノット |
船籍 | マーシャル諸島 |
建造年 | 2007年6月 |
自動車運搬船「久洋興」はノルウェー企業から約91億円で購入
Höegh Autoliners ASA – Sale of Höegh Bangkok and purchase of Höegh Jacksonville
(Höegh Autoliners ASA – Höegh Bangkokの売却とHöegh Jacksonvilleの買収)
https://www.hoeghautoliners.com/news/hoeegh-autoliners-asa-sale-of-hoeegh-bangkok-and-purchase-of-hoeegh-jacksonville
ノルウェーの海運会社Höegh Autolinersは、自動車運搬船「久洋興」を6,300万ドル、日本円に換算すると約91億円で売却したことを明らかにしています。自動車運搬船「久洋興」の売却される前の船名は「HOEGH BANGKOK」。
Höegh Autolinersは掲載記事の中で売却の目的について、現在建造中の「Aurora Class」と呼ばれる自動車運搬船の引き渡しに向けて保有船ラインナップの更新に向けた戦略に沿ったものであると述べている。
「Aurora Class」の1隻目は2024年7月に引き渡し予定になっており、積載容量は9,100CEUで世界最大級かつ環境負荷が低い次世代型の自動車運搬船。さらに、驚くべきことに現在建造を発注している「Aurora Class」の自動車運搬船は12隻。2024年7月から6カ月おきに2隻ずつ引き渡しがおこなわれる予定になっているそうです。
ヨーロッパ側の企業は環境負荷低減を目指して保有船ラインナップを更新する一方で、中国はそんなこと関係なしに経済的な需要を優先しているように見えます。ヨーロッパ側からすれば中国は環境性能の悪い船舶を引き受けてくれるありがたい存在かもしれませんが、これでほんとにいいのか。しかしながら、「Aurora Class」と呼ばれる次世代型の自動車運搬船を建造しているのは中国の造船所CMHI。
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