世界最長の沈埋トンネル建設向けに設計された多目的台船「MAYA」
2024年7月5日、DEME Groupは世界最長の沈埋トンネル「Fehmarnbelt fixed link」建設向けに設計された多目的台船「MAYA」の命名式(Vessel Naming Ceremony)がおこなわれたことを発表。
多目的台船(multi-purpose pontoon)「MAYA」は、ポーランド北部のグディニャにある造船所CRISTで建造され、2023年11月に施工を進める Femern Link Contractors へ引き渡しがおこなわれていました。Femern Link Contractors は、フランスの VINCI をリーダー企業としたデンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギーの9社による共同企業体(Joint venture)。
沈埋函のマウンドを施工する多目的台船「MAYA」
命名式によって「MAYA」と名付けられた多目的台船は長さ130m、幅45m、総トン数17,577トン。甲板上の前後に設置されている船倉には、それぞれ7,000トンの砂利や石を積むことが可能で、合計すると積載容量は14,000トン。
「MAYA」は、世界最長の沈埋トンネル「Fehmarnbelt fixed link」建設向けに設計されており、浚渫後の沈埋函を設置する場所にセンチメートル精度のマウンドを施工。約18kmの施工区間において Submerged Dumping Tool(水中ダンプツール)と呼ばれる搭載機器が水中で3Dプリンターのような動作で水深40mに沈埋函のマウンドを精密に造成するという。
船名 | MAYA |
総トン数 | 17,577トン |
長さ | 130m |
幅 | 45m |
積載容量 | 14,000トン (7,000トン×2) |
搭乗人員 | 19人 |
デンマークとドイツを結ぶ「Fehmarnbelt fixed link」
「Fehmarnbelt tunnel project」で建造している「Fehmarnbelt fixed link」は、デンマークのロラン島にあるRødbyhavnとドイツのフェーマルン島の間にあるフェーマルン・ベルト海峡を横断する約18kmの沈埋式海底トンネル。完成すると、世界最長の沈埋トンネルとなり、鉄道道路併用トンネルとしても世界最長になるという。
幅42m、高さ9mという断面の沈埋函内部は、片側2車線の車両用道路と鉄道用の線路、保守作業用の区画で構成。
「Fehmarnbelt fixed link」は、2029年に開通予定。
89函の沈埋函製作をおこなう巨大な造函施設
出典:Femern Link Contractors
現場施工用に作業船を建造していることからも分かるように、「Fehmarnbelt tunnel project」はかなり大きなプロジェクト。設置する沈埋函は、標準函79函と異形函10函の合わせて89函。
標準函の大きさは長さ217m、幅42m、高さ9m。製作段階では、約24mのセグメント9つで構成されているそうです。したがってすべての標準函だと711のセグメントを製作。
途方もない数量の巨大沈埋函を製作するのはデンマーク側の接続部分から東へ1.5kmにある造函施設。Femern Link Contractors の掲載情報によると、施設面積は100万m2。沈埋函製作には36万トンの鉄筋と320万m3のコンクリートが使用される予定。
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