スカボロー礁付近で中国海警局がフィリピン船へ放水、LRAD使用も

スカボロー礁付近で中国海警局がフィリピン船へ放水、LRAD使用も 事件・事故
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中国海警局がフィリピン船へ放水

南シナ海の南沙諸島で中国海警局の船舶によるフィリピン船への放水をはじめとした危険行為が連日続いている。

2023年12月9日、南シナ海のスカボロー礁(フィリピン名:Bajo de Masinloc)付近でフィリピン漁船へ燃料や食料を支援する漁業水産資源局(BFAR,Bureau of Fisheries and Aquatic Resources)の船舶に対し、中国海警局の船舶は放水銃を使用して支援行為をおこなう船舶の接近を妨害。BFARの船舶3隻「Datu Sanday」「Datu Bankaw」「Datu Tamblot」がスカボロー礁から1.4~1.9海里(2.6~3.5km)に接近した時、少なくとも放水銃を8回使用したという。

中国海警局が放水銃を使用する画像や動画を見ると、その水量と勢いの強さが半端ないことが分かります。BFARの船舶3隻のうち「Datu Tamblot」は、放水を受けたことにより通信・航行機器に重大な損傷が生じたそうです。

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LRAD(長距離音響発生装置)使用も

フィリピン船への危険行為は中国海警局による放水銃での妨害の他に、中国海上民兵(Chinese Maritime Militia)の船舶によるLRAD(長距離音響発生装置)使用の可能性があるという。一部のフィリピン人乗組員に一時的ではありますが重篤な不快感と無力化といった症状が報告されており、これはLRADによるものとみられている。

LRAD(長距離音響発生装置)とは?

LRAD(Long Range Acoustic Device)と呼ばれる長距離音響発生装置は、音波を投射することによって人の行動能力・判断能力を奪うことや聴覚器官や脳にダメージを与える装置。

USSブルー・リッジ (揚陸指揮艦)で使用されているLRAD
出典:Wikipedia | Tucker M. Yates – U.S. Navy Image 060127-N-9860Y-204.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる
アメリカ軍のハンヴィーに搭載されたLRAD
出典:Wikipedia | SPC Brian Chaney, パブリック・ドメイン, リンクによる
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セカンド・トーマス礁でも中国海警局はフィリピン船へ放水

2023年12月10日、セカンド・トーマス礁(フィリピン名:アユンギン礁)でも中国海警局の船舶によるフィリピン船への放水銃を使用した支援妨害がおこなわれています。

セカンド・トーマス礁で故意に座礁させている「BRP SIERRA MADRE」への定期補給をおこなうために接近した船舶に対し、中国海警局の船舶は放水銃を使用して航行を妨害。放水銃による攻撃を受けた船は、エンジンに深刻な損傷が発生し、航行不能に。フィリピン沿岸警備隊の船によってパラワン島へ曳航され、乗組員は無事だということです。その他にも、中国海警局の放水によってマストを損傷した船舶もいるという。

「BRP SIERRA MADRE」への定期補給というミッションについては別の補給船によって引き続きおこなわれ、中国海警局による妨害を受けながらも「BRP SIERRA MADRE」へ到達し、補給作業が実施されているそうです。

1967-70年頃、南ベトナムでのUSS Harnett County(BRP Sierra Madre)
出典:Wikipedia | Ed Pietzuch, US Navy, パブリック・ドメイン, リンクによる
  • 1944年
    就役

    アメリカ海軍の戦車揚陸艦「USS Harnett County」

  • 1970年
    退役
  • 1970年
    南ベトナムへ移管

    「RVNS My Tho」へ改名

  • 1976年
    フィリピンへ移管

    「BRP Sierra Madre」へ改名

  • 1999年
    セカンド・トーマス礁に座礁

    フィリピン海軍は南シナ海における実効支配強化のため「BRP Sierra Madre」を故意に座礁


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スカボロー礁での中国海警局による放水銃使用

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