能登半島地震により生じた海岸隆起
2024年1月1日16時10分、石川県能登地方で発生したM7.6(暫定値)の地震により能登半島北西部で海岸隆起という現象が起きているという。
令和6年能登半島地震変動地形調査グループ(日本地理学会)による「海岸地形変化の検討結果(第2報)」では、石川県珠洲市北部から輪島市、石川県羽咋郡志賀町の北部にかけて海岸が隆起し、輪島市門前町黒島町付近において地震前と比較すると海岸線が約240m前進しているという情報が公開されました。さらに、隆起だけではなく逆に海岸が沈降した可能性のある場所が少なくとも2ヶ所あるという。
日本地理学会のX投稿
フォトグラメトリ動画
地震発生後の海岸線がどのような状態になっているのか、現況を3DCG化したフォトグラメトリ動画が公開されています。非常に滑らかで鮮明なので分かり易くて驚きました。Googleマップの航空写真と対比させると変化がよく分かりますが、港の部分などで海底が露出している場所はフォトグラメトリ動画を見るだけでも海岸隆起していることが一目瞭然。
出典:X | ダックビル@STUDIO DUCKBILL LLC(@DuckbillStudio)
奥能登絶景街道(狼煙漁港)~国道249号(千枚田ポケットパーク)付近までの海岸線沿いのを使ったフォトグラメトリ動画です。(国土地理院空中写真使用)
— ダックビル@STUDIO DUCKBILL LLC (@DuckbillStudio) January 8, 2024
海岸線の隆起が分かります。
能登半島地震フォトグラメトリ・マップで見る事ができます。 https://t.co/pF8iYlRgRw pic.twitter.com/TgQ679xgF6
リンク先 能登半島地震フォトグラメトリ・マップ
港湾関係者にとっては死活問題
地震が発生する原因は地下の岩盤が急激にずれ動くことによるものなので、海岸隆起が起きることは不思議なことではありません。しかし、海岸隆起によって港が使用できない状態になってしまうと今後、その港を利用して生計を立てていた港湾関係者はどうなってしまうのでしょうか。
船舶の大小によって様々ですが、必要な水深が確保されていることが港を利用する最低条件。そして、船を係船する設備や荷役中または停泊中に港内へ波浪による影響が及ばないような防波堤などの設備が必要になる。今回のように港内の海底が露出するほどの海岸隆起が生じてしまうと同じ場所に以前のような港を復旧させることは難しい。かといって、前進した海岸線の先に港をつくることも困難。
結果として港が無くなるということは、漁業関係者などの港湾関係者がその港で働くことが出来なくなる。港湾関係者の割合がどの程度なのかは分かりませんが、場所によっては港周辺の町も存続が危ぶまれるという状況になりかねない。
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