世界最大となる3,500トン吊りSEP船 建造開始
2023年8月2日、上海振華重工(ZPMC)が正力海洋発展有限公司向けに建造する3,500トン吊りSEP起重機船の建造を開始する式典が江蘇省 南通市でおこなわれました。
現時点で運用されている世界最大のSEP船は、3,200トン吊りの「Voltaire」。これと同等もしくはそれ以上の吊り上げ能力を持つSEP船も建造されていますが、3,500トンには及ばない。
建造中または建造予定のSEP船のうち、吊り上げ能力3,000トン以上のクレーンを搭載するSEP船を調べてみました。今回の正力海発向けとなる3,500トン吊りSEP船を含めると4隻。その内、3隻は2024年に完成予定となっている。
船名 | クレーン能力 | 長さ | 幅 | 深さ | レグ長さ | 建造年 |
---|---|---|---|---|---|---|
Voltaire | 3,200トン | 169.3m | 60.0m | 14.6m | 130m | 2022年12月 |
未定(正力海発) | 3,500トン | 143.8m | 56.6m | 13m | 136m | 2024年末(予定) |
未定(Havfram) | 3,250トン | 151.1m | 58.0m | 不明 | 120m | 2024年(予定) |
Boreas | 3,000トン+ | 176m | 63m | 13.2m | 127.4m | 2024年(予定) |
未定(Cadeler F-class) | 3,000トン+ | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 2026年後半(予定) |
20MWの風力タービン設置が可能
中国のニュース記事によると船体設計は、上海振華重工(ZPMC)による独自設計だという。船体寸法は長さ143.8m、幅56.6m、レグ長さは 136mで水深70mの海域で作業することが出来る。3,500トン吊りのメインクレーンに加えて、350トン吊りの補助クレーンを搭載。揚程は不明ですが、20MWの風力タービン設置が可能だという。
風力タービン設置だけではなく、大型パイルグリッパーも搭載される予定で大口径モノパイル設置作業も想定されている。完成イメージの画像では、自船甲板上に多くの風力タービン部材やトランジションピースなどが積まれており、メインクレーン付近の船尾側にパイルグリッパーらしきものが搭載されているのが確認できる。一般的な方法だとその位置にブレードラックを置いてブレードを積みますが、パイルグリッパーがあることでブレードは右舷側のスペースに縦方向で置かれています。イメージ図なので深く考えていない可能性が高そうですが、効率的かどうかは別にして方法としては斬新。実際は多分やらないと思いますけど。
船名 | 未定(正力海発) |
クレーン能力 | (メイン) 3,500トン (補助) 350トン |
長さ | 143.8m |
幅 | 56.6m |
深さ | 13m |
レグ長さ | 136m |
最大作業水深 | 70m |
定員 | 150人 |
アジマススラスター | (船尾)3,500kW×3 |
バウスラスター | (船首)3,000kW×2 |
格納式スラスター | (船首)3,000kW×1 |
DPS | DP2 |
航行速力 | 8ノット |
よく読まれている記事