ERMとDolphyn Hydrogenが洋上水素生産試験を開始
ERM and Dolphyn Hydrogen launch UK’s first offshore hydrogen production trials in South Wales
(ERM と Dolphyn Hydrogen が、英国初のオフショア水素生産試験をサウスウェールズで開始)
https://www.erm.com/news/erm-and-dolphyn-hydrogen-launch-uks-first-offshore-hydrogen-production-trials-in-south-wales/
2024年7月2日、ERMとDolphyn Hydrogenは、イギリスのサウスウェールズに位置するペンブローク港で英国初の洋上水素生産試験を開始したと発表。
世界的な持続可能性コンサルタントのERMとDolphyn Hydrogenは6年間の開発期間を経て、浮体式洋上風力プラットフォームで電気分解、脱塩、水素製造をおこなうDolphyn Hydrogen processの主要要素をテストするため、洋上試験を開始。低炭素水素を安全かつ安定して大規模な生産が可能となる。イギリスの洋上で海水から水素が生産されるのは初めてだという。
Dolphyn Hydrogenは、「Dolphyn Process Technology」と呼ばれる水素製造技術を商業化し、低炭素という未来へプラスの影響を最大化するため、ERMが設立した企業。
Dolphyn Hydrogen processの開発は、イギリスのエネルギー安全保障・ネットゼロ省(Department for Energy Security and Net Zero)から支援を受けており、10億ポンド(約2,050億円)のNet Zero Innovation Portfolioを通じて、これまでに800万ポンド(約16億4千万円)を超える資金を調達。ウェールズとスコットランドの地方自治体からも支援を受けている。
2030年代にはGWスケールの商業展開
洋上での試験を開始したプロジェクトは試験段階ですが、Dolphyn Hydrogenは自社ウェブサイトで商用利用に向けた導入スケジュールを提示しており、2030年代にはイギリスやEU諸国をはじめ世界的な導入を進め、GWスケールの商業展開を目指しているようです。
- 2023年イギリスのサウスウェールズで試験実施
- 2020年代後半10MWの商用スケールによる実証試験
- 2027~28年100~300MWの商業展開
- 2030年代GWスケールの商業展開
洋上で水素を製造する仕組み
Dolphyn Hydrogenに掲載されている今回開始した試験概要によると、水素製造に使用する海水は淡水化装置を使用して淡水化したものを使用。海水淡水化装置や電気分解に必要な機器はすべて20フィートコンテナに収められている。動力源として使用する電力用発電機の燃料には、植物油と水素を高温高圧で反応させた合成燃料である水素化処理植物油(HVO,Hydrotreated Vegetable Oils)が使用されるそうです。
以前、中国で海水を直接電気分解する水素製造技術の実証がおこなわれていましたが、海水を使用した電気分解では人体に対して毒性の強い塩素ガスが発生するそうです。そのため、塩素ガス発生を抑制する方法や触媒の開発が世界的にすすめられているようですが、今のところ淡水化したほうが効率的なのかもしれません。
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