フランスで建設中の「Fécamp offshore wind farm」。2022年9月17日に世界最大のクレーン船「Sleipnir」によって風車基礎となる71基の重力式基礎設置が完了しましたが、その重量は1基あたり5,000トンという大きなもの。重力式基礎の製作場所で積出作業を行ったSarensがその様子を動画に上げていたので紹介。
約5,000トンの重力式基礎を運ぶ作業
「Fécamp offshore wind farm」の重力式基礎は、土台の直径が31m、高さは48~54mあり、1基あたりの重量は5,000トン。そんな巨大コンクリート構造物が広大な製作ヤードで71基つくられている。
岸壁から積み出すことを考えるとクレーン船で吊り取り可能な位置で製作して輸送台船に積み込むのが効率的ですが、71基もあるとそうはいきません。
門型クレーンとSPMT
製作場所から輸送台船までの運搬に使用されたのはSPMT(Self-Propelled Module Transporter)と呼ばれる重量物運搬車両。SPMTに搭載するためには、重力式基礎を吊り上げてSPMTを下に差し込まなければならない。そこで考えられた吊り上げ方法は、2つの門型クレーンを使用する方法。
重力式基礎の底版部分に取り付けたリフティングピースを2台の門型クレーンで吊り上げ。重心位置よりも低い場所に玉掛けするので門型クレーン同士の巻き上げ速度にズレが生じると転倒する可能性がありますが、2つの門型クレーンは連動させて動作する仕組みになっているので大丈夫。
門型クレーンにはそれぞれに4台のストランドジャッキを上部に設置しており、合計8台のストランドジャッキを操作して吊り上げを行っている。使用されているストランドジャッキの能力は1台850トン。850トン × 8台 = 6,800トン。コンクリート製なので地切時の付着などを考慮するとそれくらいは必要かも。
輸送台船への搭載
SPMTに載せられた重力式基礎はそのまま輸送台船へ移動して架台に搭載。輸送台船への搭載時はバランスを保つためにバラストの調整を行い、台船の傾き及び岸壁との高さ関係を制御している。輸送台船は3隻使用していて、全ての台船にバラストタンク内の水位を測定する装置と一連の相互接続されたバラストポンプを設置。
「Sleipnir」によって行われた重力式基礎の設置作業は、8月1日~9月17日の48日間で完了している。輸送台船1隻に積み込む重力式基礎は3基。71基を運搬するには24隻分の積込作業が必要なので2日に1回は積み込みしてる感じ。大変だったでしょうね。
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