重量3,500トンのモノパイルを取り扱うスプレッダーバー
Huisman to equip Jan De Nul’s Voltaire and Les Alizes with 3,500mt Monopile Spreader Bar
(Huisman、Jan De NulのVoltaireとLes Alizesに3,500トンのモノパイルスプレッダーバーを装備)
https://www.huismanequipment.com/en/media_centre/press_releases/163-193_Huisman-to-equip-Jan-De-Nul-s-Voltaire-and-Les-Alizes-with-3-500mt-Monopile-Spreader-Bar
2023年6月12日発表のプレスリリースでHuismanは、Jan De Nul のクレーン船2隻にモノパイル吊り上げ用のスプレッダーバーを納入する契約を締結したと発表。納入するモノパイルスプレッダーバーの使用荷重は3,500トン。そして、巨大なスプレッダーバーを配備するのは、Jan De Nul が所有する3,200トン吊りSEP起重機船「Voltaire」と5,000トン吊りクレーン船「Les Alizés」の2隻。
2隻の大型クレーン船は中国の造船所で建造され、SEP起重機船「Voltaire」は2022年12月、クレーン船「Les Alizés」は2023年1月に完成・引き渡しが行われている。どちらも完成して間もない新造船で、これから初作業に臨むという段階。
SEP起重機船「Voltaire」の初作業は、イングランドの沖合で建設されている「Dogger Bank Wind Farm」でGE製の風力タービンHaliade-X設置を行う予定。なので、すぐにスプレッダーバーを使用するという予定ではありませんが、もう1隻の「Les Alizés」はドイツの洋上風力発電所「Gode Wind 3」と「Borkum Riffgrund 3」でモノパイル及び洋上変電所の設置が予定されている。スプレッダーバーの納入時期は不明ですが、完成すれば「Les Alizés」の方に優先して配備される可能性が高そう。
スプレッダーバーの効果
出典:Jan De Nul
スプレッダーバーを使用する意図にはいくつかの理由がありますが、吊具が滑らないように鉛直方向に吊り上げるためというのが、その理由のひとつ。洋上風力向けの設置船でモノパイルの吊り上げを行う場合、打設時に貫入抵抗となる吊りピースを取り付けていないため、モノパイル本体に吊具を大回しする方法で玉掛けが行われます。1フックでこのような吊り方をすると、吊具が中心に向かって滑る力が作用するので非常に危ない。この現象の対策として平面的にフックから吊具を広げた(Spread)状態で吊り上げ出来るようにするための治具がスプレッダーバー。
ただし、非常に重たいモノパイルで使用するスプレッダーバーには圧縮する方向に大きな力が作用するため、スプレッダーバーとフックとの距離を離す必要がある。実際に最近、5,000トン吊りクレーン船「Les Alizés」がポーランドのグダニスクで実施したモノパイル積み込み作業では、巨大なクレーンにもかかわらず揚程に余裕が無いことが分かる。
出典:Jan De Nul
出典:Huisman
Huisman製のモノパイルスプレッダーバーでは、3,500トンのモノパイル取り扱いに対してもフックとスプレッダーバーの距離を短くすることが可能。さらに自動スリングハンドリング(automated sling handling)という機能を備え、スプレッダーバーに搭載されているバッテリーパックにより遠隔制御で動作するという。
自動スリングハンドリングという機能の詳細が気になりますが、掲載記事では説明されていませんでした。動画で動きを紹介するようなものがあれば非常に理解し易そう。今はありませんけどね。
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