HuismanがDEMEのSEP船アップグレード時の様子を公開
現在、アメリカの「Vineyard Wind 1」で出力13MWの風力タービン「Haliade-X」設置作業をおこなっているSEP起重機船「Sea Installer」について、オランダでおこなわれた900トン吊りから1,600トン吊りへのアップグレードに伴うクレーン搭載作業の様子をHuismanが公開。
HuismanがLinkedInに投稿した動画では、オランダの南ホラント州スヒーダム(Schiedam)にあるHuismanの生産拠点での新造クレーン製作・組立からマースフラクテ(Maasvlakte)でのクレーン搭載、そして荷重試験の様子までが紹介されています。
クレーン組立・運搬
最初にオランダのスヒーダム(Schiedam)にある生産拠点でのクレーン組立作業。Aフレームや旋回体の組み立てをおこなった後、建屋内で製作した長いブームを屋外へ出すと同時にそのまま台船へ積込。
台船を90度回転させてから、400トン吊り起重機船「Matador 」「Matador 2」の2隻による相吊りでブームを設置。取り扱う物の大きさに対して作業している場所はそこまで広い場所ではないので、限られたスペースを有効に使用するレイアウトが考えられています。
ブームの取り付けが終わったクレーン。この後、同じ位置でワイヤーリービングがおこなわれ、フックの取り付けまで実施。気になるのは、横で台船上に搭載されている似たようなブームの存在。こちらは、薄っすら見える企業ロゴからも分かるようにVan OordのSEP船「Aeolus」に搭載されるブーム。ロッテルダムのDamen Shipyardで2023年1月にブーム設置作業がおこなわれています。
ワイヤーリービングが完了したクレーン一式を運搬台船「BOA BARGE 34」に搭載するのは4,000トン吊り起重機船「GULLIVER」。さすがに地組したクレーンを吊り上げてそのまま輸送台船を船首側に突っ込むスペースは無かったようで、吊上げ後に90度回転して少し輸送台船を斜めに構えた状態で搭載作業をおこなっています。日本の起重機船で言うと「海翔」クラスの作業船で、ここまで小回りのきいた作業をしていると考えると結構すごい作業。操船にはウインチを使っている所は映っていないのでDPによる制御で作業していると思われる。
船名 | GULLIVER |
クレーン能力 | 4,000トン |
長さ | 108m |
幅 | 49m |
深さ | 8m |
DPS | DP(AA) (Class2相当) |
建造年 | 2018年 |
SEP船「Sea Installer」へのクレーン搭載
クレーン一式を運搬台船「BOA BARGE 34」に積んで、スヒーダム(Schiedam)から設置作業をおこなうマースフラクテ(Maasvlakte)まで約37km(20マイル)を運搬。
クレーン搭載作業では、揚程の都合で搭載位置のレグは事前に撤去されていますが、他の3本はそのままの状態。当然、レグの高さを超えることは無理なので、横から差し込んでいくという高度な作業になっています。こちらの作業もDP制御でおこなっており、作業レベルの高さが伺えます。
クレーン荷重試験
クレーン設置完了後におこなわれた荷重試験の様子。SEP船「Sea Installer」はジャッキアップした状態で、テストウェイト用の台船を吊り上げ。テストウェイト用の台船には、「HUISLIFT 1」と書かれており、沈んでしまいそうなくらい注水されていますが、テストウェイト専用の台船だと思われる。
それよりも気になったのは、岸壁に置かれているSeaqualizeの洋上リフティングデバイス。画像左に写っている「Heave Chief 1100」は、DEMEが投稿した画像でアメリカに到着したSEP船「Sea Installer」に積まれていることが確認できました。
出典:Huisman
出典:DEME Group
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