口之島沖で座礁した韓国船籍ケミカルタンカーの船体が波浪で折損
2024年5月16日、鹿児島県口之島沖で座礁したままになっていた韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG PIONEER」が波浪による影響で船体が折損。
5月16日午前7時30分頃、船舶所有者が手配したサルベージ会社からの報告を受けて第十管区海上保安本部が上空から現場を確認したところ、船体の中央部分が折れた状態で沈み込み、ブリッジ(船橋)上部と船首が海面に出ていたという。
ケミカルタンカー「KEOYOUNG PIONEER」には積荷としてシクロヘキサンが積まれており積載量は2,886トンと報じられています。これまでにも船体付近の空気中からシクロヘキサンと推定される成分が確認され、第十管区海上保安本部は緊急情報で近づかないよう呼び掛けていました。船体折損により、これまでとは比較にならないほどのシクロヘキサンが海に流出していることは間違いなさそう。揮発性が高いことから海洋への影響は少ないという見解もありますが、楽観視はできないように思えます。今のところ、口之島沿岸部でおこなった測定でシクロヘキサンは確認されていないという。
船体から油の抜き取り作業が開始された4月25日の時点で、船体の船尾側は座礁時と比べて大きく沈み込んでいたので徐々に浸水は進んでいたように見えます。今後のサルベージ作業では、見えないシクロヘキサンが漂う中で折れてしまった船体を撤去しなければならず、迫る台風シーズン前にこれ以上事態を悪化させない対策を講じるのは絶望的かもしれません。
事故発生からのタイムライン
- 2024年
4月16日鹿児島県口之島から北西約8kmで座礁事故発生インドネシア人10人、韓国人3人、ミャンマー人1人の14人は全員救助
- 4月22日62歳の韓国人船長を業務上過失往来危険の疑いで鹿児島地方検察庁に書類送検
鹿児島区検察庁は4月24日付けで韓国人船長を略式起訴し、鹿児島簡易裁判所は罰金30万円の略式命令を出した
- 4月23日流出した積荷のシクロヘキサンが付近の空気中から確認される
座礁している船体付近の空気中から積荷のシクロヘキサンと推定される成分を確認、第十管区海上保安本部が4月24日に緊急情報として発表
- 4月25日船内の油を抜き取る作業を開始
5月10日に完了
- 5月16日波浪により船体の折損を確認
船舶所有者が手配したサルベージ会社から船体が折れたと第十管区海上保安本部へ報告
ケミカルタンカー「KEOYOUNG PIONEER」
船名 | KEOYOUNG PIONEER |
総トン数 | 2,577トン |
載貨重量トン | 3,970トン |
長さ | 88.6m |
幅 | 14.6m |
深さ | 7.2m |
船籍 | 韓国 |
建造年 | 2006年1月 |
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