宮古島陸自ヘリ事故で4月末にも機体回収へ サルベージ会社と契約
陸自ヘリ事故 海底の機体回収行う民間のサルベージ会社が決定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230421/k10014045341000.html
陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島の周辺で消息を絶ち、乗っていた隊員10人が行方不明になった事故で、伊良部島北側で発見された機体主要部の回収に向け、2023年4月21日に入札を行った結果、東京に本社がある大手サルベージ会社「深田サルベージ建設株式会社」のグループ会社が10億円余りで落札し、契約したという。契約期間は6月末まで。
他の報道記事によると契約したグループ会社は「オフショアエンジニアリング株式会社」。深田サルベージが行う防衛省関連業務の拡大に伴い、その支援業務をより一層強化することを目的として1990年1月に設立。防衛省関連の海上における役務支援業務や船舶運航業務、深田サルベージが保有するROV(遠隔操作無人探査機)の運航支援業務を行っている。
機体主要部の発見場所は水深106mの海底
陸上自衛隊は天候条件などが良ければ4月末にも作業を始める方針を示しており、発見されている機体胴体部分のほか、散乱している残骸も回収して機体を調査するとしている。さらに、事故原因の究明に向けて大きな手掛かりとなるフライトデータレコーダーについても回収し、原因究明を進めたい考えのようです。
機体の主要部分が発見されたのは、レーダー消失地点から北北東へ約4km、水深106mの海底。回収作業に向けて、まず行われるのは調査になると思われる。現在もあらゆる方法で行方不明者の捜索が行われており、その過程で判明している回収する機体の状況や周辺海域の詳細な海底地形などで回収方法の検討が出来る可能性もありますが、細部の確認や万が一回収に失敗することを考慮し、現状記録という意味も含めてROVによる調査は行われると思われる。
飛行していたヘリコプターが海面に墜落した時の衝撃を考えると、回収時に機体強度がどこまで耐えられるのかは分かりません。可能な限り現況の状態を保持したまま引き揚げるためには、玉掛け方法や使用する吊具選定の他に、現場海域の複雑な潮流を把握して引き揚げるタイミングを調整することも重要になってくる。
機体回収作業を行う作業船
いずれ分かることですが、現状では作業にあたる作業船の情報は公表されていないので不明。調査の段階ではROVとDPSを搭載した自航式の多目的作業船が現場に向かうものと思われる。
機体回収について契約した「オフショアエンジニアリング株式会社」のホームページに掲載されている所有船舶の自航式多目的作業船は5隻。その中の船が回収作業に向かうかどうかも不明ですが、現在の位置をAIS情報で確認。
位置的に回収作業をおこなう宮古島周辺に近いのは種子島に停泊中の「新日丸」。4月初旬までフィリピンのミンドロ島沖で転覆・沈没したタンカー「M/T Princess Empress」の調査や沈没船から流出する油を止める作業をおこなっていましたが、4月10日頃、日本に帰国して鹿児島の港に入港していました。
調査後の機体回収作業では、知床観光船沈没事故で観光船「KAZUⅠ」引き揚げ時のように、DPSを搭載したクレーン付き台船を投入するかどうかは分かりませんが、回収する機体重量は10トン未満と推測されるので自航式多目的作業船に搭載されているクレーンで回収する可能性もある。
よく読まれている記事