「長江口二号」引き揚げ台船が進水
2022年5月26日、中国の招商局重工(CMHI)で建造されていた少し変わった台船が進水。
台船中央部に長方形の開口。少し変わった台船なので使用目的を調べると壮大なプロジェクトの重大な役割を担った台船ということが判明。
進水したのは、沈没船「長江口二号」の引き揚げをおこなう台船。
元記事を引用。
5月26日14時、CMHI-275-01プロジェクトは無事に完成しました。
CMHI-275-01上海サルベージ局の専用エンジニアリングデッキバージプロジェクトは、中国マーチャント産業海門基地が最初の工業地帯を設立した後、最初のプロジェクトです。 プロジェクトサイクルは、会社のすべての関連ユニットの強力なサポートと協力して、主要な作業エリアは、全体的な計画要件に従ってノードを洗練し、タスクを完了するために、アウトブレーク、材料、および他の多くの影響を克服し、サブセクションアップタイヤ、砂小屋配置、クレーン、労働需要などから積極的に計画し、建設計画を逆さまにし、多くのイニシアチブは、水ノード計画を確実にするために全力を注いでいます。 3月10日の着工から水出しまでわずか78日で、ノード計画より3日早く。
https://www.shipoe.com/news/show-52743.html
この記事だけではほぼ理解できない。
上海サルベージが何かの専用台船を短期間で建造していることしか伝わってこない。
いろいろ調べてみると、上海サルベージが行っている沈没船「長江口二号」を引き揚げるプロジェクトがなかなか壮大なものだったので紹介。
「長江口二号」引き揚げプロジェクト
2007年に似たような沈没船引き揚げプロジェクトがあり「南海1号」が引き揚げられています。「南海1号」の大きさは全長30.5m、幅9.3m。今回引き揚げられる「長江口二号」は全長38.5m、幅7.8mと大きさで「南海1号」を上回る
「長江口二号」の発見
上海市文化財局は2011年から水中の文化財調査を行い、2015年に中華民国時代の鉄製軍艦を発見し、「長江口一号」と命名。その後「長江口一号」の近くに木造商船を発見し、「長江口二号」と名付けた。
「長江口二号」の現況沈没状態
「長江口二号」の沈没位置は、水深8m~10mの海底で深さ5.5mほど埋まっている状態。大きさは全長30.5m、幅9.3m。中国でこれまで発見された沈没船の中で最大規模。保存状態も良く、数多くの文化財が積まれている。
2007年に引き揚げられた「南海1号」では18万点の文化財が発見されており、それらを展示する「シルクロード博物館」が建造され、引き揚げられた船体も保管されている。
今回も「長江口二号」古船博物館の建設が決定している。
「南海1号」の引き揚げ方法(参考)
「長江口二号」の引き上げ方法は、2007年に引き揚げられた「南海1号」の方法を参考にしたような感じ。なので、まず「南海1号」の引き揚げ方法を確認。
「長江口二号」引き揚げ方法
「南海1号」の時は、コンテナを沈めた後に周囲を掘削して底に鋼材を挿入する手順でしたが、「長江口二号」の場合は、長江の流れが強く、海底は川砂なので粘性が低く周囲を掘削してもすぐに埋め戻ってしまう状態。なので同じ手順での引き揚げ作業は難しい。
採用されたのは「アークビーム非接触文化的遺物統合移動技術」。
「長江口二号」引き揚げ方法を確認
1.基準及びガイドとなる骨組を「長江口二号」の沈没位置に着底させて沈めていく
2.22本の巨大な半円形の鋼製梁を海底に回転させ、「長江口二号」の底面を包み込むように設置する
3.設置した半円形の鋼製梁と最初に設置した骨組を連結
4.半円柱形状の骨組と鋼製梁を吊り上げて「長江口二号」を引き揚げる
最後に「長江口二号」船体と海底の泥が包まれた半円柱の鋼材を吊り上げる台船が今回進水した上海サルベージの台船。
「長江口二号」の船体寸法は38.5m×7.8m、5.5m埋まった状態。それを包み込む半円柱の鋼材寸法は46m×19m、深さ8.5m。それを吊り上げる台船の開口寸法は50m×26m。
吊上げ時の想定荷重は10,000トン。
動画のリンク先 https://youtu.be/bQFY5K8_GNc?si=4X6YoBKt6S85JHzr
「長江口二号」引き揚げスタート
2022年3月2日、「長江口二号」引き揚げ作業は開始されています。
開始の式典が行われたのは3,000トン吊り自航式起重機船「威力号」の船上。
引き揚げ作業は2022年内に完了する予定。
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