雲林洋上風力で2024年の設置作業が始まり風力タービン2基を設置
2024年5月7日、Skyborn Renewablesは台湾の雲林洋上風力発電所(Yunlin offshore wind farm)で今シーズン最初の風力タービン2基の設置がおこなわれたと発表。風力タービン設置作業は、Cadelerの800トン吊りSEP起重機船「Seajacks Zaratan」(Wind Zaratan)でおこなわれ、2024年の年内中にモノパイル、トランジションピース、風力タービンおよびアレイ間・エクスポートケーブルを含むすべてを設置完了させるために今後も全力で取り組んでいくと述べています。
雲林洋上風力発電所において2024年の作業開始は、2024年3月にモノパイル設置が始まったという発表で明らかにされていました。2023年末までに設置済の数量と今回発表された設置済数量を比較すると、これまでに2024年の作業でモノパイル11基、風力タービン2基、アレイ間ケーブル2本の設置がおこなわれたことが分かります。
項目 | 設計数量 | 設置済 2023年末時点 | 設置済 2024年5月発表 | 残数量 | 進捗率 |
---|---|---|---|---|---|
モノパイル | 80基 | 45基 | 56基 | 24基 | 70% |
トランジションピース | 80基 | 不明 | 53基 | 27基 | 66% |
風力タービン | 80基 | 34基 | 36基 | 44基 | 45% |
アレイ間ケーブル | 69本 | 26本 | 28本 | 41本 | 41% |
エクスポートケーブル | 12本 | 不明 | 12本 | 完了 | 100% |
「BLUE WIND」はモノパイル設置作業をまだ未施工?
清水建設が建造した日本最大のSEP起重機船「BLUE WIND」は、Fred. Olsen Windcarrierとの契約により雲林洋上風力発電所でモノパイル輸送と設置をおこなうため2024年3月初旬に台湾の台中港へ到着していますが、AISで確認する限り設置エリアへは行っておらず、まだ施工をおこなっていないようです。
AIS情報の航跡では5月5日に台中港を出港しているのが確認できますが、日付が変わった翌日の6日未明には台中港へ帰港。何かトラブルが起きているのか、それとも想定内の動作確認なのか不明。
現在、モノパイルの設置作業はNPCCが所有する3,810トン吊りクレーン船「DLS 4200」のみで実施しているとみられますが、およそ1.5ヶ月間で11基のモノパイル設置を完了させていることから、風力タービン設置のほうが工程的にクリティカルになりそう。「Seajacks Zaratan」(Wind Zaratan)以外にも風力タービンを設置するSEP起重機船を手配しているかもしれませんが、「BLUE WIND」をモノパイルから風力タービン設置へ切り替えるという動きが出てくる可能性も考えられるのかも。「BLUE WIND」は、Siemens Gamesa製の風力タービン「SG 8.0-167」設置実績があることですし。
いずれにしても過去、雲林洋上風力発電所ではモノパイルに関する事故が起きているだけに、焦ることなく慎重な判断で作業を進めて欲しい。安全第一。
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