大金重工からMORAY WEST向けXXLモノパイル3隻目の出荷
2023年7月14日、山東省 烟台市 蓬莱市にある大金重工有限公司(Dajin Offshore Heavy Industry)の山東蓬莱生産基地で製造された「Moray West Offshore Wind Farm」向けとなるXXLモノパイルが半潜水式運搬船「祥和口」(XIANG HE KOU)に積まれ中国を出港。
スコットランド沖で建設が予定されている「Moray West Offshore Wind Farm」では、Siemens Gamesaの14.7MW風力タービン60基と洋上変電所2基を設置する予定で、それぞれの基礎として合計62基のモノパイルが使用される。62基のXXLモノパイルのうち、48基の製造を大金重工が請け負っており、今回出港した3隻目の運搬船に積まれたモノパイル8基で全体の半数となる24基になるそうです。
62基のモノパイルのうち、大金重工で製造する48基以外の14基に関しては、スペインの Navantia Seanergies と Windar Renovables によって製造されるという。
「Moray West Offshore Wind Farm」向けに製造されたモノパイルは最大直径10m、最大重量2,000トンのXXLモノパイル。長さの記載はありませんが、半潜水式運搬船「祥和口」は全長216.7m、幅43mで、使用可能な甲板長さは164.8mなので、およそ80m。
名称 | モノパイルの直径 |
---|---|
通常のモノパイル | 5m~6m |
XLモノパイル | 6m~8m |
XXLモノパイル | 8m~11m |
XXXLモノパイル メガモノパイル | 11m以上 |
出典:Bladt IndustriesのHP
1隻目は2023年6月にスコットランド到着
中国の大金重工で「Moray West Offshore Wind Farm」向けとなる最初のXXLモノパイルが完成したのは2023年2月。そして、中国からスコットランドへの運搬1隻目「振华 33」(ZHEN HUA 33)に搭載されて最初のモノパイル8基がスコットランドのクロマーティ・ファース港に到着したのは、2023年6月。
ヨーロッパの洋上風力プロジェクトを受注する中国企業
中国の山東省からスコットランドのクロマーティ・ファース港への運搬距離は約22,000kmにも及ぶ。ヨーロッパにもモノパイルを製造する企業は多くありますが、これだけの地理的なアドバンテージを覆して受注する中国企業は単純にスゴイ。
西欧諸国、中国ともに多くの洋上風力プロジェクトが計画され建設が進む中で、発注する側としては予算や品質と同じくらい納期に重点を置いている。巨大な製造能力を持つ企業に依頼すれば必要な時期に資材を調達できるというメリットは大きい。
洋上風力向け基礎部材の世界的な大手製造企業Sif Groupは、オランダのモノパイル製造工場をアップグレードする工事を開始していますが、近い将来モノパイルやジャケットなど基礎部材の製造がボトルネックになる可能性がある。急速に成長している洋上風力産業では、その巨大化の過程で様々なところにひずみが生まれては解消されるということを繰り返しているような感じですね。
Moray West Offshore Wind Farm
この現場で注目しているのは、洋上風力タービン基礎のモノパイル設置をおこなう打設機械としてCAPE Hollandのバイブロハンマーが採用されているという点。Siemens Gamesaの巨大な風力タービン設置も気になりますが、バイブロハンマーによる打設の方が勝る。
現在、清水建設のSEP起重機船「BLUE WIND」が風力タービン設置をおこなっている「石狩湾新港洋上風力発電所」でもCAPE Hollandのバイブロハンマ―「CAPE VLT-320」を使用してジャケット基礎杭の打設がおこなわれました。
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