重量1,492トン、シップアンローダーを自船のクレーンで積み込み
BigLift Shipping の重量物運搬船「Happy Star」による重量1,492トンの連続式シップアンローダー(CSU,Continuous Ship Unloader)の積み込み作業が韓国の慶尚南道にある昌原市でおこなわれ無事に完了。
CSUは、韓国の斗山グループ(財閥)傘下の Doosan Enerbility がジャワ島西部にあるチレゴン(Cilegon)で建設中の石炭火力発電所向けに製造したもの。
AIS情報によると、「Happy Star」は2023年8月18日に積み込みをおこなう韓国 昌原市の岸壁に入港し、CSUを積み込んで8月21日に出港。現在、インドネシアのジャワ島西部にあるチレゴンへ向け航行中で、8月30日9時に到着予定。
タンデムリフトで2,200トンを吊り上げる「Happy Star」
1,500トン近い重量の製品を自船のクレーンで積み込みが出来る重量物運搬船「Happy Star」。それを可能にするのは、搭載されている最大吊り上げ重量1,100トンという巨大な2基のクレーン。タンデムリフトで2,200トンの重量物を吊り上げることが出来る。
「Happy Star」に搭載された大きな2基のクレーンという設備に加えて、綿密に計画された手順によって今回のCSU積み込みがおこなわれたようです。
BigLift Shipping がLinkedInに投稿した内容によると、 2基のクレーンによって吊り上げられたCSUは、重量物運搬船「Happy Star」に積まれた後に8m走行したという。CSUの形状を画像で見ると、玉掛けしている走行部分の上には石炭を運ぶベルコンやウエイトのような設備が前後に大きく張り出しています。最終的に張り出している部分は、事前に甲板上へ準備された架台に預けていますが、クレーンで搭載した時点ではCSUの上部を旋回させようとしても「Happy Star」のクレーンに干渉してしまうので旋回させることが出来ない。
この問題を解決するために、甲板上の走行レールを余分に準備してCSUを走行させることで、旋回させても「Happy Star」のクレーンに干渉しない手順で積み込み作業をおこなったそうです。羨ましい程、柔軟な発想。
吊荷の重心位置よりも低い位置に玉掛けをすると吊荷が転倒する恐れもありますが、その辺も細かく検討されているんだと思います。陸上クレーンでも2台以上で吊り上げする場合はありますが、施工の自由度が高い反面、一歩間違うと重大災害に繋がりかねない高度な作業と言えます。
重量物運搬船「Happy Star」の概要
建造当時に搭載されていたクレーンは900トン×2基でしたが、2018年にアップグレードされて1,100トン×2基になったようです。クレーンはHuisman製。ジブ長さは約40m。ジブをほぼ水平に倒した状態でも430トンの吊り上げ能力がある。
船名 | Happy Star |
総トン数 | 18,374トン |
載貨重量トン | 19,000トン |
搭載クレーン | 1,100トン×2 |
長さ | 156m |
幅 | 29m |
速力 | 16ノット |
建造年 | 2014年 |
出典:BigLift Shipping B.V.
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