ちょっとショッキングな船舶事故。
スーダンの東、紅海にあるスアキン港で家畜運搬船(Livestock Carrier)の「AL BADRI 1」が沈没。
船に積まれていたのはスーダンからサウジアラビアへ輸出される予定だった15,800頭の羊。
家畜運搬船「AL BADRI 1」沈没
スーダン船が沈没し、何千頭もの羊が溺死
日曜日、スーダンの紅海の港スアキンで、何千頭もの羊を積んだ積載船が沈没し、船上のほとんどの動物が溺死したが、乗組員全員が生き残った、と当局者は述べた。
家畜船はスーダンからサウジアラビアに動物を輸出していたが、運ぶ予定よりも数千匹の動物が船に積み込まれた後、沈没した。
「船バドル1号は日曜日の早朝に沈没した」とスーダンの港湾高官は匿名を条件に語った。「15,800頭の羊を運んでいましたが,それはその荷の限界を超えていました。
当局者は、船は9,000匹の羊しか運ばないことになっていると言いました。
失われた家畜の総価値は「約1400万サウジアラビアリヤルで、400万ドルに相当」と協会の家畜部門の責任者であるサレハ・セリムは述べ、羊がスアキン港で船に積み込まれたことも確認した。
スーダン船が沈没し、何千頭もの羊が溺死 (yahoo.com)
「AL BADRI 1」は2022年6月12日早朝、スーダンのスアキン港で沈没。
沈没の原因は、過積載。羊9,000頭しか積めない船に15,800頭の羊を積載。沈没するのも納得。
ただ、サウジアラビアへ運搬するつもりだったので、そこまでの長距離輸送ではなさそう。どこの港へ輸送する予定だったかは不明ですが、最寄のジェッダ(サウジアラビア)までは紅海を挟んで直線距離で320km(約170海里)。
船の沈没により失った家畜の被害額は、約1400万サウジアラビアリヤル。日本円に換算すると約5億円(1サウジアラビア リヤル=35.9円として)。
沈没した船に積まれていた15,800頭の内、約700頭は救出されたようですが、沈没によって一度溺れているので病気にかかりやすく、長生きはできないそうです。
家畜運搬船「AL BADRI 1」の概要
船自体の建造は1973年。当時はコンテナなどの貨物を運ぶ運搬船として建造された。コンテナ船などを家畜運搬船へ変換することは珍しいことではない。
「AL BADRI 1」建造時の船名は「HENRY STAHL」、そして「YTONG I」「ESTER I」「MALAK 1」という遍歴があり、船名の変更は4回。
船名 | AL BADRI 1 |
総トン数 | 2,332トン |
載貨重量トン数 | 1,580トン |
全長 | 79.8m |
幅 | 13m |
建造年 | 1973年 |
家畜運搬船とは?
家畜運搬船とは、牛や羊などの家畜を生きたまま輸出する時に使用される船。新造船で建造されることもあるが、コンテナ船などを改造して使用されることも多い。馬、ラクダ、鹿、ヤギなどの輸出にも使用されていますが、圧倒的に輸出量が多いのは牛と羊。
クウェートに本拠を置き、家畜の生産・輸送・取引を行うKLTT(Kuwait Livestock Transport & Trading)が所有する家畜運搬船「AL KUWAIT」。全長189.5m、総トン数36,028トン、載荷重量トン数23,500トン。
その運搬能力は、牛だと20,000頭、羊だと75,000頭。3,000トンの飼料を積載可能。
家畜運搬船の問題点
家畜運搬船は、他の運搬船に比べて沈没や座礁による事故の確率が2倍だそうです。
生きた動物を乗せた船は、沈没や座礁による「全損」を被る可能性が、標準的な貨物船の少なくとも2倍である
独占:貨物船の2倍の確率で家畜船が失われ|環境|ガーディアン (theguardian.com)
事故の確率が高い理由は、2つ。
まず、家畜運搬船として建造された船が少ない。8割がコンテナ船など、他の用途で建造した船を改造して使用しているそうです。
次に、運用されている家畜運搬船が全体的に老朽化している点。2年前の記事で、家畜運搬船の平均使用年数が36年と推定されています。
家畜運搬船での事故
よく読まれている記事