洋上風力の修繕実施、「ATOMS」2024年第3四半期に完成予定
2024年4月11日、SOLVE Windは洋上風力タービンの大規模メンテナンスを現場で実施することができるATOMSプラットフォームの建造が順調に進んでいることをLinkedInへの投稿で明らかにしました。2024年第3四半期までに完成する予定で、年内にはデモンストレーションを実施するという。
投稿された画像では、プラットフォームの浮体部分が形になり始めていると説明。建造中のATOMSプラットフォームでは最大4MWまでの着床式および浮体式洋上風力タービンの運用・保守作業を対象しており、将来的には2030年に15MW以上を対象とした着床式・浮体式洋上風力タービンの運用・保守に加えて設置作業の実施を目指している。
SOLVE Windは、Esteycoの洋上プラットフォーム技術とLiftraのクレーンシステムを組み合わせ、洋上風力向け統合技術ソリューション開発を目指して2023年に設立。
Liftraは、2023年4月にDEME Offshoreと次世代洋上風力タービン向けとなる革新的な設置技術の開発について協力することを発表しています。
ATOMS=取付・曳航が可能な運用保守システム
ATOMSとは、Attachable Towable O&M System(取付・曳航が可能なO&Mシステム)という意味。レグを使用してジャッキアップするSEP船を使用することなく、洋上風力タービンの大規模メンテナンス作業を可能にする半潜水式バージ技術。
ATOMSプラットフォームは、一般的なタグボートで曳航し簡単に移動することができ、風力タービン付近では安全に接近するためにウインチシステムを装備している。着床式風力タービンでは、プラットフォームと基礎を連結することで安定。浮体式の場合は、浮体と連結することで波浪による揺れが同期し、安全にクレーン作業をおこなうことが出来るという。
作業終了後は、簡単にATOMSプラットフォームを切り離され、タグボートにより岸壁へ曳航。プラットフォームの連結システムは風力タービン側で変更を加えることなく、異なるタービン構造への接続に適応できる仕様になっている。
Liftra開発のクレーンと組み合わせることで相乗効果
ATOMSプラットフォームを風力タービンに連結した後はLiftraのクレーンシステムを使用して部材交換などのメンテナンス作業を実施。タワーをセルフクライミングすることができるLiftra開発のクレーンとATOMSプラットフォームを組み合わせることにより相乗効果が生まれ、洋上風力発電業界が抱える主要な問題点を解決することができるとしている。
今後のタイムライン
- 2023年SOLVE Wind 設立
- EsteycoとLiftraによる合弁会社
- ATOMSテクノロジー(第1世代)の生産開始
- 2024年ATOMSテクノロジー(第1世代)のデモンストレーション
- 2025年ATOMSテクノロジー(第1世代)による運用・保守
ATOMSテクノロジー(第1世代)による商業運転は、最大4MWまでの着床式および浮体式洋上風力タービンの運用・保守作業を対象
- 2027年ATOMSテクノロジー(第2世代)による運用・保守
着床式および浮体式洋上風力タービンの運用・保守作業を対象としたATOMSテクノロジー(第2世代)のリリース、最大15MWの風力タービンを対象
- 2030年ATOMSテクノロジー(第3世代)による運用・保守、さらに設置も
着床式・浮体式洋上風力タービンの運用・保守および設置作業を対象としたATOMSテクノロジー(第3世代)のリリース、15MW以上の風力タービンを対象
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