鹿島建設が秋田沖の洋上風力プロジェクトでモノパイルの工事契約締結
2025年10月13日、男鹿・潟上・秋田 Offshore Green Energy合同会社は鹿島建設と秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖における洋上風力発電事業で風車基礎の製造・調達・輸送・据付工事に関する契約を締結したと発表しました。
「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業」は、秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖の一般海域にVestas製の15MW風力タービン「V236-15MW」21基を設置する計画で、総発電出力は315MW。2028年6月30日に運転開始予定。
男鹿・潟上・秋田 Offshore Green Energy コンソーシアムは掲載記事の中で今回の契約に関して、事業の中核を担う風車基礎の建設に関するものであり、プロジェクトの本格的な施工段階への移行を示す重要なマイルストーンとなるとした上で、鹿島建設が有する高い技術力と豊富な工事実績を活かし、安全性と品質の確保はもとより、環境負荷の低減や地域との共生にも十分に配慮しながら工事を進めていくと述べています。
一方で鹿島建設は、風車基礎の設計に関する先行業務を契約のうえ実施してきた経緯に触れ、風車基礎の建設に関する契約締結により、引き続き事業の中核をなす風車基礎の建設に取り組むとしている。これまで、沖合空港や洋上石油備蓄基地等、数多くの海洋工事を手掛けてきており、国内初の商用洋上風力発電事業である秋田港・能代港洋上風力発電事業の建設工事を担ったほか、陸上風力発電所の建設工事では30年を超える実績を有している。今後、積み重ねてきた実績と豊富な経験を活かし、地域や地元企業とも連携して、本事業の円滑な推進に協力していくとともに、我が国で本格化していく洋上風力発電の導入に対する取組みを通じて、地域の持続的な活性化とカーボンニュートラル社会の実現に積極的に貢献していくと述べています。
風車基礎にはモノパイルを採用
「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業」で設置する風力タービン基礎は、着床式でモノパイルを採用している。
日本国内で運転を開始している商用規模の洋上風力発電所のうち、モノパイルを採用しているのは秋田港・能代港洋上風力発電所と入善洋上風力発電所のみ。まだ全体の件数自体が少ない状態ですが、日本の洋上風力発電所で着床式の風力タービン基礎として採用されているのは、現段階でモノパイル式とジャケット式が半々といったところ。
モノパイルに比べてジャケット基礎杭は形状が小さいため、国内の既存作業船でも施工可能なクレーン船は何隻かいると思いますけど、モノパイルとなると重量的に取り扱える作業船は少ない。風力タービン設置を計画しているエリアの水深は20m前後であまり深くはないとはいえ、ローター直径236mの15MW風力タービンを支えるモノパイル重量は1,000トンを超える規模であると思われる。
公表されている洋上工事のスケジュールで基礎設置作業の開始時期は2027年4月。五洋建設が建造を開始した5,000トン吊りクレーン搭載の大型基礎施工船は2028年5月の完成・引き渡し予定であるため、「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業」の基礎施工には間に合わない。
横倒しの状態で輸送されるモノパイルを設置場所で建て起こす設備を搭載していれば、「BLUE WIND」(2,500トン吊り)や「CP-16001」(1,600トン吊り)、日本船籍化予定の「Sea Challenger」(1,600トン吊りへアップグレード中)でも施工はできそう。
秋田港・能代港洋上風力発電所での施工では、4,100トン吊り起重機船「海翔」を使用して港内の岸壁でモノパイルを建て起こした後、吊り運搬して打設をおこなうSEP起重機船「Seajacks Zaratan」(現在は Wind Zaratan)へモノパイルを引き渡すといった方法を採用。
施工をおこなう作業船の選定やどのような施工方法で作業が進められていくのかといった部分も含めて今後のプロジェクト進捗に注目。
秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業

「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業」の事業者は、経済産業省及び国土交通省が実施した洋上風力公募、ラウンド2で2023年12月に男鹿・潟上・秋田 Offshore Green Energy コンソーシアムが選定され、2024年2月に男⿅・潟上・秋⽥Offshore Green Energy合同会社を設立。構成企業は、JERA Nex bp Japan合同会社、電源開発株式会社、東北電力株式会社、伊藤忠商事株式会社。
| 工事内容 | 開始時期 |
|---|---|
| 基礎設置 | 2027年4月 |
| 海底ケーブル敷設 | 2027年5月 |
| 風力タービン設置 | 2027年7月 |
- 設置位置:秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖
- 発電容量:315MW
- 風力タービン:Vestas V236-15MW、21基
- 風車基礎:着床式
- 運転開始予定:2028年6月30日























よく読まれている記事