住友重機械工業が新造船事業から撤退、今後は洋上風力向け浮体製造へ
2024年2月14日、住友重機械工業は100%子会社である住友重機械マリンエンジニアリングがおこなう一般商船の新造船事業から撤退することを明らかにしました。
事業撤退の理由
一般商船の建造については2024年度以降の新規受注を停止し、2023年度末までの受注残の製作完了をもって本事業から撤退するという。
1897年に浦賀船渠株式会社として創業以来、別子銅山の工作方と並ぶ祖業の一つとして120余年にわたり、事業を運営。2003年には住友重機械マリンエンジニアリングを分社化。その後、順調に業績を伸ばしてきたなか、2008年のリーマンショックを契機に船価が急速に悪化するなど、新造船事業を取り巻く環境は悪化。受注隻数制限、建造体制の見直しなど様々な手段を講じてきましたが、鋼材や資機材価格の高騰や需給ギャップ拡大による諸外国との厳しい競争環境の継続が予測されることから、事業継続は困難という判断に至ったという。
今後は2026年生産開始を目指して洋上風力向け浮体建造の予定
新造船受注残の建造、そして建造船のアフターサービス、修理事業については継続して対応するとした上で、今後は中期経営計画2026におけるエネルギー・ライフラインセグメントの方針に基づき、脱炭素エネルギー領域における
洋上風力発電の基礎構造物や関連船舶等の事業化を進めるという。
中期経営計画「中期経営計画 2026」は、2024~2026年度の3ヵ年を対象としており、新造船事業から撤退することを発表した同日に住友重機械工業が発表しています。その中で戦略再構築事業、造船事業の再構築として事業再編スケジュールが掲載されており、洋上風力関連として2023年末まで浮体実証、2025年から生産体制の整備が始まり、2026年中頃以降に生産を開始する予定になっている。
なお、新造船建造に使用している土地の一部は、住友重機械工業の100%子会社にあたる住友建機が横須賀工場を建設し、油圧ショベルの一部機種を生産する予定だという。