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石狩湾新港で建設中の洋上風車、8月中に設置完了は厳しい?

石狩湾新港で建設中の洋上風車、8月中に設置完了は厳しい? 洋上風力発電
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石狩湾新港で建設中の「石狩湾新港洋上風力発電所」

北海道放送の掲載記事【2023年08月15日(火) 16時38分 更新】

北海道に国内最大級の洋上風力発電設備が建設中 一般家庭約8万世帯分カバー、年内にも発電開始

https://www.hbc.co.jp/news/841e55f2d4ac305d77f1809dccd07ce2.html

2023年8月15日、北海道放送(HBC)に掲載された記事で「石狩湾新港洋上風力発電所」が取り上げられていました。ニュース映像では8月15日午後の石狩湾新港として現場の様子が紹介されています。

設置している洋上風力タービンは、Siemens Gamesa の出力8MW「SG 8.0-167 DD」。高さ196m、ブレード長さ82m、記事の中では、広い海の上だからこそ陸上に比べて巨大な風車を設置することができるという説明がされていました。完成すると、一般家庭およそ8万3,000世帯分の電力を発電し、国内最大規模の洋上風力発電設備になるという。

石狩湾新港洋上風力発電所の概要
  • 国内最大の8MW洋上風車設置
  • 国内最⼤規模の洋上⾵⼒と蓄電池を保有する施設
  • 設置位置:北海道 石狩湾新港、沖合1.6km
  • 発電容量:設備容量112MW(接続容量99MW)
  • 風力タービン:Siemens Gamesa SG 8.0-167 DD、8MW、14基
  • 風車基礎:着床式、ジャケット式(重量750トン)、先行杭
  • 売電先:北海道電力ネットワーク株式会社、売電期間20年
  • 運転開始予定:2023年12月
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国内最大のSEP船「BLUE WIND」によるタービン設置作業

高さ196mという巨大な風力タービン設置作業をおこなうのは、清水建設が洋上風力建設のために巨額を投じて建造した2,500トン吊りSEP起重機船「BLUE WIND」。SEP船としては国内最大。

全高196mでローター直径167mの風力タービンなので、ハブ高さは約112m。「BLUE WIND」に搭載されている伸縮する特殊なテレスコピッククレーンは、最大重量2,500トンの吊り上げ能力を発揮する短縮した状態のブームで最大揚程116.5m。これだとタワーの設置はギリギリ出来たとしても、ナセル・ハブ・ブレードの設置は吊具を考慮すると施工が厳しくなります。しかし、ブームを拡張すると吊り上げ能力は1,250トンに落ちますが、最大揚程は116.5mから158.5mに40m以上増加。報道されている施工の様子からもブームを拡張した状態で作業していることが確認できます。

2022年10月に完成したばかりのSEP船「BLUE WIND」は、5月に富山県沖の「⼊善洋上⾵⼒発電所」で3MW風力タービン3基について基礎となるモノパイルから設置を完了させており、「石狩湾新港洋上風力発電所」の施工が2番目の現場となる。

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秋サケ漁開始前の8月末までに風力タービン設置予定でしたが・・・

報道されている情報を総合的に見ると、8月中に全14基の風力タービン設置は厳しそう。

北海道放送の掲載記事では、8月15日午後の石狩湾新港として現場の様子が紹介され、SEP船「BLUE WIND」は7基目の設置をおこなっているようでした。

「BLUE WIND」による風力タービン設置が始まったのは7月14日。開始から1ヶ月で約半分の進捗ということは、単純に計算して施工完了までにあと1ヶ月必要。8月中に全14基を設置するというのは、どう考えても厳しそう。

8月末までに設置を完了させる理由については、地元漁協との取り決めによって秋サケ漁が始まる前までに終えることになっているらしい。

設置が始まった当初に報道されていた情報によると、風力タービン設置作業は2交代により24時間体制でおこなわれるということでしたが、設置サイクルは1基当たり3日かかるということでした。現場の休日については書かれていませんでしたが、土日祝日をすべて休工にしていたとすると7月14日にスタートして8月15日は7基目設置完了日となるので報道された時点での辻褄は合います。しかし、施工開始から終了まで土日祝日を休工にして、1基3日間の施工サイクルで設置をおこなうと、7月14日に開始した時点で完了日が9月13日になってしまうという矛盾が生じる。なので、やっぱり施工が遅れているというのは間違いなさそう。

建造時の発表では8MW風車を1基当たり1.5日で設置する想定

世界最大級・高効率の自航式SEP船を建造(抜粋)

8MW風車なら7基、12MWなら3基分の全部材を一度に搭載でき、予備日をみても8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付け可能

清水建設 | ニュースリリース(https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2019/2019007.html)

SEP船建造時に清水建設が公表していた施工サイクルでは、8MW風車7基を10日で設置できるというものでした。およそ1.5日で1基設置するという施工サイクルを2倍の3日間にしておきながら、なお進捗が遅れているというのは何が原因なんでしょうか。

天候やSEP船には関係ない部分に起因するところで遅れている可能性もありますが、それらだけが遅れている原因とも考えにくい。想定と違った部分は今後の施工に向けて改善が必要なのかもしれません。まだ、2現場目なのでこういった事態が起きても不思議ではありませんが、地元漁協と完了期日について約束しているので簡単にそのまま延長という訳にはいかないのかも。

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