SEP船「华夏金租神大01」初作業で14.3MW風力タービン設置
2023年7月下旬に完成・引き渡しされたばかりの1,200トン吊りSEP起重機船「华夏金租神大01」(hua xia jin zu shen da 01)が、初作業となる現場で出力14.3MWの風力タービン設置を完了。設置がおこなわれたのは、中国南東部の福建省沖合に建設が進められている「漳浦六鰲(Zhangpu Liuao)洋上風力発電プロジェクト」。
AIS情報によると、SEP船「华夏金租神大01」が建造場所の山東省青島市を出港したのは、8月6日。福建省沖合にある「漳浦六鰲洋上風力発電プロジェクト」の現場に向けて航行し8月20日頃にダイレクトで現場に到着。青島-福建の航行距離はおよそ1,600km(約870海里)、到着日が明確に分かりませんでしたが計算すると平均速力はおよそ3ノット。船首側にカットアップはあるものの、船体形状が箱形なので速力は遅いみたい。
そして、最寄の港で風力タービン部材を自船に積み込む作業はおこなっていないので、運搬船で運んできたものを吊り取って施工しているようです。自らジョーンズ法縛りを設けている様な感じですが、何の都合でその様な方法をとっているのかは不明。単に工程を優先しているだけなのかもしれません。
14.3MW風力タービン、ハブ高さは149.5m
ジャケット式基礎の上部に設置する14.3MWの風力タービンは、ナセルとハブが組み立てられた部材が最大重量で603トン、設置するハブ高さは149.5m。とても大きなものですが、SEP船「华夏金租神大01」の最大揚程はメインフックで甲板上150m。画像で見る限り、水面上から甲板までの高さはおよそ20mくらいあるので、メインフックの最大揚程は170m程度あったと思われる。そして、ブレード設置で使用しているブーム先端側の補助フックは、さらに高く揚程は200m近くあり、まだまだ余裕がある感じ。
中国のニュース記事によると、設置場所でジャッキアップしてからブレード設置完了までの所要日数は3日間だったという。運搬船から部材を吊り取っていることを考えると早いのかもしれない。
SEP起重機船「华夏金租神大01」の概要
船名 | 華夏金租神大01 (hua xia jin zu shen da 01) |
クレーン能力 | メイン:1,200トン(主) メイン:400トン(補) サブ:300トン |
揚程 | 甲板上 150m(主) 甲板上 175m(補) |
長さ | 106.6m |
幅 | 44.2m |
深さ | 8.45m |
レグ長さ | 110m |
最大作業水深 | 60m |
レグ能力 | 昇降:5,000トン/脚 最大支持:8,300トン/脚 |
レグ昇降速度 | 船体昇降時:24m/h レグ昇降時:32m/h |
プロペラ | アジマス 2,000kW×2(船尾) トンネル 1,500kW×2(船首) |
DPS | DP-1 |
宿泊設備 | 90人 |
謎の甲板スペース拡張部材
今回の施工で少し用途不明の部材が使用されていました。SEP船の両舷に甲板スペースを拡張するような青い部材。画像は上空からなので取り付けらている高さが分かりにくいですが、甲板上と同じ高さになっているように見えます。ブレードを吊り取った時に仮置きするためのものでしょうか。ちょっとよく分かりませんでした。
よく読まれている記事