Aフレーム改造を行った「Thialf」がグレートベルト・リンクを通過してバルト海に入った。目的は「BALTIC EAGLE」の洋上変電所設置と「Arcadis Ost I」の風車タービン設置。
「Thialf」がグレートベルトリンクを通過
オランダのHeerema Marine Contractorsが所有する14,200トン吊りクレーン船「Thialf」がバルト海への入り口であるグレートベルト・リンク(Great Belt Link、デンマーク語: Storebæltsforbindelsen、ストアベルツファビドゥスン)を通過。Heerema社が所有するクレーン船がバルト海に入るのは初めて。
Thialf crosses the Storebaelt Bridge: Heerema enters the Baltic Sea
(Thialfがストアバエルト橋を渡る:ヘーレマがバルト海に入る)
Thialf crosses the Storebaelt Bridge: Heerema enters the Baltic Sea
グレートベルト・リンク通過の為にAフレーム改造
「Thialf」は2021年から2022年にかけてロッテルダムに係留中、Aフレームの改造を行っていた。この改造により、Aフレームを格納することが出来るようになり、グレートベルト・リンクの桁下制限をクリア。
グレートベルト・リンク通過時のエアドラフトは65m弱
グレートベルト・リンク通過時はAフレームを格納するだけではなく、船体の最大喫水までバラストダウンした状態で通過。それでも「Thialf」の水面上に出ている高さは65m弱。グレートベルト・リンクの桁下制限は65mなので数字上はギリギリ。画像を見ると結構余裕があるように見えます。
バルト海での作業予定
Heeremaの掲載記事によると、「Thialf」のバルト海での作業予定は2つ。
1つは「BALTIC EAGLE OFFSHORE WIND FARM」での洋上変電所の設置。2つ目は「Arcadis Ost I」での9.5MW風車27基の設置。
BALTIC EAGLE OFFSHORE WIND FARM
BALTIC EAGLEでの作業は洋上変電所のジャケット、基礎杭、トップサイドの設置。総重量は7,150トン。
それ以外のモノパイル打設はVan Oordの「Svanen」、タービン設置はFred. Olsen WindcarrierのSEP起重機船「Blue Tern」で施工される予定。
種別 | 企業名 | 施工時期 | 備考 (予定船舶など) |
タービン製造 | MHI Vestas | — | V174-9.5 MW |
モノパイル打設 | Van Oord | 2023年4月~ | Svanen |
タービン設置 | Fred. Olsen Windcarrier | 2024年~ | Blue Tern |
洋上変電所設置 | Heerema | 2022年 | Thialf |
Arcadis Ost I
出典:Youtube | Heerema Marine Contractors
Arcadis Ost Iでの作業は風車タービンの設置。風車基礎のモノパイルはDEMEの「Orion」が打設済み。「Thialf」が設置する風車はVestas V174-9.5 MW、27基。
設置方法はRotor Nacelle Assembly (RNA) installation methodと呼ばれる斬新な方法。非常に興味深い作業の1つなので早く施工風景が見たいです。
着床式洋上風車の風車タービンをSEP起重機船以外で施工する方法としては画期的。
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