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清水建設のSEP船「BLUE WIND」初任務へ向け いざ日本海へ

清水建設のSEP船「BLUE WIND」初任務へ向け いざ日本海へ 洋上風力発電

 2022年10月の完成・引き渡し以降、長らく広島の江田島・呉周辺で施工に向けた準備や習熟訓練を行っていたSEP起重機船「BLUE WIND」。初任務へ向け広島を出港し、瀬戸内海を出て日本海へ向かっています。目的地は石川県七尾港。

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清水建設のSEP船「BLUE WIND」初任務へ向け いざ日本海へ

SEP起重機船「BLUE WIND」呉-七尾 間の航行経路

 2023年3月18日、清水建設が建造したSEP起重機船「BLUE WIND」が初作業となる富山県入善町沖の洋上風力発電設備設置に向けて広島を出港しました。⼊善洋上⾵⼒発電所では、出力3MWの風力タービン3基について基礎となるモノパイル設置から風力タービン設置までを行う予定。

 AIS情報によると、3月18日18時頃から航行を始めた「BLUE WIND」は、広島を出港したあと南へ進み、豊後水道を抜けて九州南端を回るルートで日本海を目指しています。

本州と九州を結ぶ関門橋(橋長1,068m、桁下61m)
出典:Wikipedia | 投稿者自身が撮影 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 広島から日本海側へ出るルートとして、関門海峡を抜けて日本海へ出るのが最短ルートですが、「BLUE WIND」に搭載されているレグと呼ばれる脚部が長いため、関門橋の桁下を通航することが出来ない。

 「BLUE WIND」のレグ長さは90mに対して関門橋の桁下高さは61m。この問題があるので関門海峡を通らず、わざわざ遠回りして九州南端を回る航行経路になっている。

すでにモノパイルは七尾港に到着

 モノパイルなどの基礎部材は中国の南通润邦海洋工程装备有限公司が製造、風力タービンは中国のタービンメーカー明陽智能(MingYang Smart Energy)が製造する「MySE3.0-135」を採用。両方とも中国企業が製造している。

モノパイルなどを積んだ運搬船「DONGBANG GIANT NO 3」

 モノパイル3本や補助コンポーネントなどの基礎部材は、運搬船「DONGBANG GIANT NO 3」に積まれて中国を出て、石川県の七尾港に到着しています。

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施工に使用する機材・設備など

 現在、SEP起重機船「BLUE WIND」に積まれている機材が不明ですが、施工に向けていろいろな機材が必要になると思われる。作業が始まればいずれ分かる事ですが、気になる点を考えてみます。

モノパイルの建て起こし、パイルグリッパー

 現地の港に到着後、モノパイルなど資材の積込に合わせて積む機材もあると思いますが、まず気になったのはモノパイルの建て起こし方法。横になっている状態から直立状態へ建て起こしする時にモノパイルの下端を補助する設備と90度可動しても接触しない専用の吊具が必要。いろいろな方法がありますがパイルグリッパーで兼用するのが最近の主流のようです。

「ORION」に搭載しているパイルグリッパー
出典:DEME
大林・東亜のSEP船に納入予定のパイルグリッパー
出典:Huisman Equipment
施工概要の説明で掲載されている「BLUE WIND」
出典:SHIMIZU CORPORATION

 清水建設のホームページに掲載されている洋上風車施工概要の説明では、モノパイルの建て起こしだけを行う設備を搭載していました。建て込み時は IHC IQIP の統合モノパイル・インストーラー(INTEGRATED MONOPILE INSTALLER)を使用。

 「BLUE WIND」にヘリパッドが搭載されているイメージ図なので、もろもろ変更されている可能性が高く、実際に採用されている方法は不明。

モノパイル打設機材

 次に気になるのは、モノパイルを打設する機材。

 使用する大型油圧ハンマーの規格が不明ですが、秋田港・能代港洋上風力発電所の風力タービン基礎となるモノパイルの打設で800トン吊りSEP起重機船「SEAJACKS ZARATAN」が使用していたのは、IHCの「S-1200」。ラム重量60トン、ラムを含む本体質量は138トン。

秋田能代プロジェクトのIQIP油圧ハンマー
出典:IQIP

 油圧ハンマー本体以外にもスリーブや油圧ユニット、駆動するための発電機、油圧ホース・電源ケーブルなどが必要。油圧ハンマーの規格が秋田と同じ「S-1200」を使用するにしても本体部分の重量は100トンを超える重さなので、陸上輸送は難しく台船などを使用して海上運搬するのが一般的。なので広島を出港するまでに積み込み完了している可能性が高い。

打設作業の指揮を執るのは・・・

 日本国内でSEP起重機船を保有又は建造中の企業は、清水建設の他に「CP-16001」を建造中の五洋建設・鹿島建設・寄神建設、「柏鶴」を建造中の大林組・東亜建設工業。餅は餅屋じゃないですが、各企業は、船舶や作業船の扱いに長けた企業をパートナーとして取り込んでいます。

SEP起重機船保有企業の協力関係
  • 「BLUE WIND」:清水建設、深田サルベージ建設
  • 「CP-16001」 :五洋建設、鹿島建設、寄神建設
  • 「柏鶴」    :大林組、東亜建設工業

 「BLUE WIND」を保有する清水建設は、深田サルベージ建設に運航管理を委託。「CP-16001」の保有・運営を行うPKYマリン株式会社は、マリコン大手の五洋建設とスーパーゼネコンの鹿島建設、国内最大の起重機船「海翔」を保有する寄神建設というバランスの取れた協力関係。「柏鶴」を保有する大林組、東亜建設工業は謎。

 「BLUE WIND」の運航管理を委託されている深田サルベージ建設は、知床半島の観光船沈没事故での引き揚げのようなサルベージ作業や橋梁架設、ケーソン据付などの重量物運搬・据付で多くの実績があり、船舶・クレーン船の扱いに不安はありませんが、杭打ちなどの土木工事を施工できるイメージが全くない。

 大口径のモノパイル、重量は数百トン、ミスの許されない油圧ハンマーによる一発勝負。国内で類似の施工経験者は少ないと思われますが、どこからか呼んでくるはず。油圧ハンマーのメーカーにいるスーパーバイザーや代理店の技術指導員など。この辺の情報は施工が始まっても分からないでしょうね。

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来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
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